団塊坊ちゃん青春記

連載「団塊坊ちゃん青春記」第14話---下宿をとうとう追い出される

大学三年になって、私は四回目の引越しをしました。「とても良い人が来てくれた。」と下宿のおばさんは大喜びです。実をいうと、私は第一印象が良いらしく、最初はうまくいくのです。ある日、夕食を食べに階下に降りていくと、大変な美人がいるではありませ…

連載「団塊坊ちゃん青春記」第12話---前人未踏の鍾乳洞に達す2

体がこの穴を突破すればよいのだから要は穴を大きくすることだと結論した私達の行動は次のようなものです。理学部化学部のこのリーダーは、鐘乳石の化学方程式を恩いだし塩酸をかけると化学反応をおこして鐘乳石は溶けるはずだと主張しました。CaCo3+2HCl→Ca…

連載「団塊坊ちゃん青春記」11話---前人未到の鍾乳洞に達す1

探検部活動の一つの分野に鐘乳洞探検があります。このケイビング活動の練習場として私達は北九州にある岩屋(ごうや)鐘乳洞をよく利用していました。この岩屋には長く続く横穴や数十メートル地下に下がるたて穴や、“カニの横バイ”と我々が名付けていた狭い…

連載「団塊坊ちゃん青春記」第10話---大学祭2

私達探検部が考え出したのは、屋台で探検料理を売ろうという案でした。材料はヘビ、カエルが主なものです。材料集めのために数週間前から材料収集部隊の編成にとりかかりました。ヘビをつかむのは平気という部員と、家の近くに食用カエルがたくさんいるとい…

連載「団塊坊ちゃん青春記」7---探検部巻頭言を作詞する

プレハブの長屋の2階にある部屋で、毎週部会をやっていると、1階の丁度真下にある混声合唱団の清らかな歌声が聞こえてきます。なかなかうまいのだろうけれども、われわれ探検部員の歌もかなりいけるのではないか、混声合唱団の歌声を聞いてそう思いました。…

団塊坊ちゃん青春記6----武器(食器)は犬の茶碗

探検部の部員連中と言えば、だいたいみんな貧乏でうすぎたないが、暗い下宿で集っている時には、海外遠征の話がでたり女性論がでたり、そして例の如く、各人各様の探検論に花が咲くのでした。冬の間にクラブの雰囲気に慣れてきた私は春から猛然と行動を開始…

団塊坊ちゃん青春記5----部室乗っ取り作戦成功す!

当時の探検部には部室がありません。先輩の下宿を部室がわりに使っていたのです。一年間の活動費として学友会から支給される予算がたったの八千円から一万円にあげる交渉が難事でした。学友会の予算担当者とえんえん四時間話しこんでUPしてもらったのでし…

連載「団塊坊ちゃん青春記」4--−探検部入部2

しからば、探検部とは何でしょうか。これを言葉で言うのが非常に難しい。そもそも、この探検という言葉がよくわかりません。人に聞いても誰も納得のいく説明をしてくれません。顧問であるMという先生は、「探検とは知的情熱の肉体的表現である。」と言って…

連載「団塊坊ちゃん青春記」3---探検部入部1

探検部というクラブを読者はご存知だろうか。このクラブに似たものに、ワンダーフォーゲル部(ワンゲル部)と山岳部という伝統のあるクラブがあります。ワンダーフォーゲルとはドイツ語で、渡り鳥という意味です。ヨーロッパの山々を若い青年たちが足で歩き…

連載「団塊坊ちゃん青春記」2−−探検部以前2

大学には受け持ちの教授がいます。私のクラスはM先生という、ドイツ語の先生でした。この人は、昼間は「イッヒ、デルルルル」とかの発音をしながら、あまり面白くない授業を行います。授業が終ると、「今日はどうですか」と酒によくさそっていただきました…

連載「団塊坊ちゃん青春記」1----探検部以前1

私が大学に入学したのは昭和44年。この前後数年間が最も激しい大学粉争のうずまいた時期でした。佐世保への原子力潜水艦エンタープライズ入港拒否闘争、東大安田講堂のバリケード、そして機動隊の実力行使による落城、東大入試の中止事件、そして私の入学し…

「団塊坊ちゃん青春記」の連載を始めます。

新年度の新企画として、このブログの日々の日記に加え、「団塊坊ちゃん青春記」という連載を始めます。同世代、後続世代の感想を楽しみにして書いていきたいと思います。以下、プロローグです。