「横山大観」(国立新美術館)と、「伊勢物語」(出光美術館)

k-hisatune2008-02-08

六本木の国立新美術館で開催されている「没後50年 横山大観--新たなる伝説へ」を観る。
大観は明治元年生まれで、1958年に90歳で亡くなっているから2008年の今年が50年目である。

無我、村童観猿翁(卒業製作)、迷児(釈迦・孔子老子の三教にキリストを加えた絵)、月夜の波図(ボストンからの里帰り作品)、雲去来、焚火、荒川絵巻、生々流転(霧・露・川・大河・海へと続く。万物は永遠に生死を繰り返し、絶えず移り変ってゆくこと)、洛中洛外雨十題(大気の変化)、夜桜(ローマ日本美術展出品)、紅葉、正気放光(1944年)、南冥の夜、秋色、そして四時山水。

富士の堂々とした姿を描いた「正気放光」が良かった。
また、夜霧がやがて海に通じていく「生々流転」、79歳の時の作品「四時山水」も良かった。四時山水は、27メートルに及ぶ絵巻で一日の中に日本の絶景の四季を入れ込んだ名作である。大観記念館でも部分をみたが、今回は最初から最後までずべて鑑賞できた。

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帝劇の中にあるビルに出光美術館があり、「描かれた伊勢物語 王朝の恋」が開催されている。「むかし男ありけり」で始まる125段の短編である。この男は在原業平
い。館内の展示は6つに分かれている。

1.むかし男ありけり--業平の肖像
2.描かれた恋の行方--絵巻
3.描かれた恋の行方--宗達色紙紙4
4.東下り--ある男の旅愁
5.恋白露--運命(さだめ)と哀歌
6.伊勢物語を描く

3の東下りでは、酒井抱一尾形光琳俵屋宗達、4では山口逢春、5では江戸時代の絵入りの伊勢物語の嵯峨本のヒット本、土佐派・狩野派宗達派の伊勢物語絵など。奈良絵本、、。


大観展も伊勢物語も中年女性が圧倒的多数を占めている。後は高齢の夫婦といったところ。
伊勢物語は、今年千年紀を迎える源氏物語よりも100年ほど前にできた物語だが、この時代の男女の短歌を介したやりとりは実に優雅だ。