「今、朝鮮半島をどう考えるか」−−南北統一の四段階理論(金美徳)

k-hisatune2009-10-15

リレー講座は、先週が初回だったが、大型台風のために休講となった。今日は、まず初回を担当する予定だった寺島学長のビデオによる挨拶と今回のシリーズの先生たちの紹介、講座の狙いなどが10分ほどあった。

今回は、「今、朝鮮半島をどう考えるか」というテーマで、多摩大客員教授の金正徳(キム7ミドク)先生の興味深い講義。

以下、北朝鮮に関する情報に特化して記載する。

  • 北朝鮮は鉱物資源(レアメタル)が豊富。推定6兆ドル(534兆円)
  • 北朝鮮の貿易は、中国が半分。以下、韓国、インド、ブラジル、タイ、ベネズエラ、ロシア、、。
  • 北朝鮮経済改革(02年7月)は、大きな矛盾(経済改革したいが対外開放したくない)を孕みながら少しづつ進んでいる(鉱物資源。水産資源、労働力)。
  • 北朝鮮の中国への本音・不満。中国の援助が減った。高句麗は中国とする領土問題。朝鮮戦争中国軍北朝鮮のために戦わなかった。中国の修正主義。韓中国交正常化。中朝貿易では中国から粗悪品しか入ってこない。この不満のはけ口をロシアとの関係強化に向ける。
  • 中国の本音。北朝鮮が崩壊するにしろ南北統一するにしろ、米軍が北朝鮮に入ってくるのは困る。現段階では北朝鮮問題をフリーズにしておくのが得策。
  • 26歳の金正雲キム・ジョンウン)を改革開放路線に向かわせるための外交が必要。ソフトランディングさせられない場合は、軍事紛争の「恐れ。崩壊時には100兆円のコスト負担と数百万人の難民発生。
  • 北朝鮮が改革開放に向かえば米朝、日中の国交正常化の可能性が高まり、その延長線上に南北統一の輪郭が現れる。
  • 南北統一の方法論は4段階統一論が通説。第一段階:朝鮮半島の平和体制の構築。第二段階:南北経済共同体。第三段階:二のつの政府による南北れwんごう。第四段階:南北合州国
  • 南北統一した場合、2050年には世界8位の経済大国(ゴールドマン・サックス推計)。08年韓国GDPの7倍以上。
  • 北朝鮮崩壊シナリオ。指導者失脚時30万人、体制崩壊時200万人の難民。日本へは数万人。(韓国政府9
  • 日本の課題。

  日朝の信頼醸成なくして、朝鮮半島と北東アジアの平和はあり得ない
  北朝鮮性善説性悪説でなく、戦略的(日本の国益)にとらえる

    • 北東アジアを「覇権・軍事戦略の対象」から「平和・繁栄の象徴」に転換するためのグランドデザインを描く

金先生の金日成大学での3年間に及ぶ講義などの経験によれば、学生は極めて真面目に勉強するし(居眠りはいない)、研究者や労働党幹部も経済大国になった日本に興味津々だそうだ。日本の居酒屋での風景は日本とまったく同じだそうだ。
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午前中は、学長室ミーティング、多摩大ホームページ打ち合わせ。
午後は、出版社来訪、リレー講座、ホームゼミ。
夕方からは、インターゼミの東なるこ温泉活性化チームの3人(宮城・阿部・山本)と多摩境の「憩いの湯」のフィールドワークと、論文のまとめのブレーンストーミング。この温泉は、源泉掛け流し。論文の方向も温泉につかったあとのゆったりした気分の中で行ったこともあり、アイデアがたくさん出て、見通しがついた。