「知研フォーラム」308号が充実している

k-hisatune2010-04-21

「知研フォーラム」308号が届いた。

「講演録」は、寺島実郎顧問の3月11日に行われた「2010年の世界潮流を予測する」である。当日は130人の聴衆が集まり盛会だった。この每年の年初に行う「世界潮流の予測」シリーズも知研では10回目になる。「知研の活動は日本の異業種交流の中軸になっており、大事にしたいと思っております」と最初に語っている。以下見出し部分を書き抜く。
ふたたび世界の高成長の兆しがあらわれている・世界の金融資産は実体経済の三倍以上に膨れ上がっている・日本では原材料はインフレだが中間財消費財はデフレ・消費が落ち込んでいる原因は分配のyふがみ・家計に現金をぶち込む政策のあやうさ・世界の構造転換のキーワード・CO2削減ルールづくりでまとまらない世界・大中華圏というネットワーク型の視点はますます正解度深まる・シンガポールユニオンジャックの矢と大中華圏の接点・日本の弱さは各界ともガバナンスの弱さからくる・電気自動車再生可能エネルギーとIT技術の相関でどんな未来をアメリカがつくりだすのか・大型プロジェクトエンジニアリングのスペシャリストが育っていない・エネルギー問題でもあらゆる選択肢の活用と研究が求められている

2月17日に丸の内・丸善にて行われた「知の現場」出版トークショー「最初の一冊の壁をいかに越えるか」の内容のまとめもある。樋口裕一・山田真哉・私の鼎談のテープ起こしだが、楽しく読める。各自の最初の一冊のときのエピソードなどが面白い。

冒頭の私の連載「人物記念館の旅」は、「本居宣長記念館−「もののあはれとは、、、人の心の中に起こる感動」。記録魔、優れた知的生産者としての生活ノウハウ、35歳から35年間かかって完成した大いなる知的生産物「古事記伝」のことなどを書いた。

「懐かしの知研セミナー」は、最近亡くなった井上ひさしの「最近の日本語の動き」で、この講演は1981年だった。「懐かしの」ではなく、「現代によみがえる」とか前向きのタイトルにした方がいいのではないかなあ。

毎回楽しみにしている高階時子さんの「楽しい事典の話」は、今回は「正岡子規の初任給15円は今のお金に換算すればいくら?」である。様々な資料を用いて解明してくのだが、高階さんは司書だけあって、いつも資料を探し出す手際のよさに感心している。

いくつか知研の主催するセミナーの紹介もある。http://tiken.org/

知研関係者の出版

  • 野村正樹「東京 思い出 電車旅」
  • 中村文人「おとうじゃないって」「みんなだいじななかま」「感動する仕事!泣ける仕事!」
  • 久恒啓一「問題がすっきり解決!図解思考の本」(PHP研究所)
  • 知的生産の技術研究会「達人に学ぶ 知的生産の技術」(NTT出版社)
  • 秋田英美雫子「チャンスは人からもらいなさい」(青春出版社

「知研本部幹事募集のお知らせ」。希望者はemirun@nifty.comまで。