「知的武装」が必要だ−−リレー講座・第1回は寺島実郎学長

多摩大学寺島実郎監修リレー講座の第一回。本日は監修者の寺島学長の講義。

  • 外は広く、内は深い(鈴木大拙)。知識と人間力で。
  • 学生にはものごとを考えるきっかけにして欲しい。どう生くべきかというイメージを持って欲しい。
  • 今、日本ほど陰鬱な国は少ない。悲観論、うつむきがち。しかし外は異様な熱気に包まれている。
  • 2010年世界同時成長局面へ。中国+10%台成長、インド+8%台、ブラジル+5.3%台、ロシア+3.9-4%台、アメリカ+3%台、EU+1.1%台、アセアン+4.7%台、インドネシア+6%。
  • BRICSからBRIICSへ。Iはインドネシア、Sはサウスアフリカ(南ア)。経済牽引者が多角化してきた。
  • マネーゲーム再びの懸念。好景気は財政出動と超低金利による。余ったカネがどこに向かっているか? 原油価格が上昇中(2010年1月72ドル、やがて100ドルをうかがう)
  • 日本。10年3月の企業物価指数。2000年を100とすると、素材原材料173.4%、中間財(部品など)109.2%、最終財87.5%。最終財のうち耐久消費財(家電等)は69.1%、非耐久消費財(食料・衣料等)は101.8%。業界によって景況感がまるで違う。「川上インフレ、川下デフレ」。インフレとデフレの同時進行。
  • なぜ消費が弱いのか?
  • ワーキングプア問題。年収200万円(時給1000円で死に物狂いで働いて得るレベル)は、非正規労働者(1721万人)、自営業、正規を含め、全労働人口6272万人のうち34%の2165万人。
  • これはグローバル化とIT革命の相関の中から生まれた。
  • IT革命はカゲの部分は労働の平準化をもたらした。金型の設計はCAD,CAMへ。、次世代バーコードで時給1000円の仕事もなくなる。
  • グロバール化は労働者の賃金を下に下げる役割を果たした。
  • 勤労者家計可処分所得。2000年月額47.3万円が2009年には42.8万円と−9.5%。政権交代前夜09年1−7月は41.2万円でこれは年収ベースで−73.2万円に相当。
  • 企業のフリンジベネフィット(社宅・寮・保養所)は減少。
  • 収入減少と公的負担増(税・社会保障9により、可処分所得が大きく減少し、いらだちと悲鳴が、政治への怒りに向かった。
  • 政治は家計にカネを直接配るという行動に出ている。麻生内閣の1.2万円、鳩山内閣子ども手当
  • 子ども手当は、子どもは社会全体が育てるべきだという社会政策論だが、本音は「「家計に直接給付する」という景気対策
  • 親子の関係が変わるなど、リスクが大きい。「子どもは社会が育てる」という合意は国民のあいだいにできているのか?
  • 生活保護。2008年159.3万人で生活扶助基準額は東京標準3人世帯で194.6万円。雇用保険による失業保険給付60.7万人で平均支給額は152.4万円。
  • 年収200万以下のワーキングプアが2165万人との対比で、不公平ではないか。ゆがんだ分配になている。公正な分配という基軸を取り戻すべき。
  • 学生諸君!こういった時代の中で、どう生きるか。単なる部品としての労働力にならないためには「知的武装」が必要だ。
  • 次回の講義は、アジア。

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9時半から学長室ミーティング。
11時からホームページと大学パンフレットの打ち合わせ。
12時半、社団法人企業社会研究会が来訪し、講演の打ち合わせ。
14時、学長
14時40分から、リレー講座
16時20分からホームゼミ。東京ヴェルディチーム、多摩焼きチーム、オーラルヒストリーチーム。