愛知教育大学で講義。モンスターペアレントをテーマに実習。

愛知県知立市愛知教育大学の富山先生のデザイン論に招かれて講義。学生は小学校の教員を志望する三年生だった。

講義と実習のテーマは、本日の産経新聞を活用。
オピニオン欄の金曜討論。小学校の女性教師度重なるクレームで不眠症に陥ったとして児童の両親に慰謝料を求める訴えを起こしたケース。いわゆるモンスターペアレント問題だ。
この件に関し、プロ教師の会を主宰する可上亮一さんと臨床教育研究所虹を主宰する尾木直樹さんが、それぞれ所論を展開している。
可上さんは、訴訟は最後の最後の手段でこういう状況下では仕方がない、教師の権威の回復と教育力を保証する法律上のバックアップが必要という立場だ。
尾木さんは、親を訴えるのは筋が違う、教師を守るべき校長や教育委員会に問題があり、トップレベルの人材が教員を志望する状況にしないと日本が沈没するという主張だ。

二人のインタビューを並べているが、双方の所論を図解し議論する中でいくつもの発見があった。
河上さんは教師と生徒の上下関係の問題を提起しており、尾木さんは、校長らと教師との上下関係に焦点をあてている。つまり、教育委員会、校長、そして現場の教師、そして生徒というタテの上下関係の議論である。二人の主張がかみ合わないのは、論点がずれているからで、どちらに相共感するにせよ、相手の議論で取り入れるべきところは取り入れることができるということになった。

また、河上さんの発言の見出しは「最後の手段で仕方ない」が大見出しで、「訴訟は増えるのでは」、小見出しは「法律上の支援は必要」尾木さんは「親を訴えるのは筋が違う」が大見出しで、小見出しは「サポート無いのが問題」「校長や市教委が問題」という否定的な言葉を産経は採用しているから、読者は後ろ向きのイメージをもってしまう。
見出しを、原因と対策に絞って表現すると、前向きなトーンとなって、議論がかみ合ってくるはずだ。記者の聞き方、編集の心構えですっかり記事がかわってくるえはずだ。

こういうことを学生と一緒に発見するのは楽しい作業だ。

夜は、名古屋で日本総研名古屋のトップの岸田さんと松山閣で食事をする。事業の概要、日本総研の歴史、茅誠司、岸田純之助ら歴代トップらの話題も含めいい時間を過ごした。