東寺(教王護国寺):空海の曼荼羅

東寺教王護国寺)。東寺曼荼羅の寺である。
曼荼羅とは輪円具足、すなわち満ち足りた世界ということ。悟りの内容を図絵であらわしたもの。胎蔵界は大日経により大慈大悲の世界をあらわしたもの。金剛界は混合頂経による智の世界をあらわしたもの。

  • 密教の経典にあらわされている教義は極めて神秘的で、これを人々に理解させるには、画像による表現をかりなければ伝達しえない。(請来目録)


  • 物の興廃は必ず人に由る。人の昇沈は定めて道に在り。
  • 遮那(しゃな)は中央います。遮那は阿誰(たれ)の号(な)ぞ。本是れ我が心王なり。
  • 良工は先ずその刀を利くし、能書は必ず好筆を用う。刻とろうと用に随って刀を改め、池に臨まば字を逐って筆を変う。
  • 仏心は慈と悲なり。大慈は則ち楽を与え、大悲は則ち苦を抜く。


  • 十住心論
    • 第一住心 動物のように、欲望のままに生きる心。
    • 第二住心 道徳に目覚めた心。道徳の教えにより人間としてやや善なる心がきざしはじめる心。
    • 第三住心 戒めを守り、来世の安楽だけを願う世界。 仏の戒めを知り、来世に良い生まれ変りを望む心。
    • 第四住心 自我に実体はないことを悟る心。 声聞 ( お釈迦様の言葉を聞いて悟る者 ) の境地。
    • 第五住心 縁覚 ( お釈迦様のように、前世からの善行や誓いにより、ひとり修業し悟る方 )の境地。      
    • 第六住心 菩薩の境地。縁に囚われず、慈悲の心を全ての人に起こし、他者の救済のためにはたらく心。
    • 第七住心 三論宗の境地。物質に実体性がない(無我)だけではなく、自分の心に起こることも、実体がなく、本来不生であると悟る。
    • 第八住心 法華経の境地。性は汚れに染まらないと観想し、全ての人の心が清浄であると知る。
    • 第九住心 華厳教の境地。仏は空の悟り(無為)がまだ究極ではないことをさとす。
    • 第十住心 真言密教の境地。機根 ( 信仰心と能力のある ) を持つ者を、法界マンダラに入れしむ。

四・五は小乗仏教の境地。六・七・八・九は大乗仏教の境地。十は密教の境地。