歴史における個人の役割--リレー講座の講師は寺島学長


リレー講座は寺島学長。
冒頭は、オバマ再選のアメリカと習近平の中国。

  • 2008年はイラクの失敗とマネーゲム批判の中で「チェンジ」を掲げてオバマが6%の得票率の差で登場。2012年は1%という微差。
  • 日本の民主党マニフェストを無視し別の事をやって内向・内政ともに空中分散。
  • オバマは必死に公約を守ろうとしてきた4年間だった。イラクから撤退、金融規制法、健康保険、、、。「対話と協調」という世界観は21世紀型だ。
  • 金融界出身でプロテスタントではないロムニー候補は、機会の平等、小さな政府、自己責任、そして「強いアメリカ」という世界観で惜敗した。
  • 習近平。第五世代の53歳。太子党のエリート。二つの気になる点。
    • 16歳から23歳までの16年間、文革の嵐の中で農村家下放。精華大を卒業し党中央で秘書室。駐英大使の娘と結婚、離婚。河北省の村役人になる。現在の中国を快く思っていないニュアンスがある。単純な太子党ではない。
    • 5度にのぼる米国体験がある。ホームステイ、娘がハーバード大に留学中。

本日の本題は歴史意識。オランダ。

  • 10世代前の250年前は江戸中期。自分には2046人の血が流れており自分を見つめている。これが原点。
  • 自著「20世紀から何を学ぶか」で歴史上の人物を語った。一人一冊のノートをとっていった。この本は「歴史の進歩とは何か」がテーマだった。
  • トインビー「歴史の研究」。節度を重んじる穏健な態度の重要性。一人の人間が他人を支配する奴隷制、マインドコントロールははいけない。
  • 市井三郎(哲学者)。歴史の進歩とは何か。歴史は必然でもない。不条理な苦痛を軽減し、解放することが進歩。自分の運命を自分で切り拓ける世界。
  • 現代の不条理とは何か。この10年で後退したのではないか。ネットワーク社会の中で他人に身を委ねて、主体的に考えられなくなった。歴史における個人の役割は重い。自分の頭で考えなければならない。
  • 著者は進化させるべきものだ。

以下、「17世紀オランダが日本の近現代史に投げかけたもの」という私の描いた図を資料に「脳力のレッスン」を復習し、128回目の「フェルメール」の解説。

  • 「真珠の首飾りの少女」で使った青色の原料のラピスラズリという宝石からつくった顔料がウルトラマリン。日本では瑠璃と呼ばれる。原産地はアフガニスタンだった。この宝石・顔料はオランダ東インド会社によってアフリカ大陸を廻り込むルートで運ばれた。芸術と科学技術の並走。そして経済、政治とも相関している。
  • ドキュメンタリー映画「オランダの光」(ピーター・リム・デ・クローン監督)は「17世紀にオランダに満ちていた光は、もはや物理的に存在しないのでは」という問題提起。エイセル湖の干拓。ユリイカ誌(青土社)「フェルメール特集」(2008年8月号)で詩人の谷川俊太郎は「フェルメールは詩に近く、レンブラントは散文に近い印象」と述べている。

寺島実郎の勉強法。

  • 人物に関するあらゆる本を集め、たんねんに一人一冊のノートにとっていく。
  • 自分なりの問題を設定して本にその著者の回答を求めるという読書法。
  • 海外出張の機内の中での映画が重要な情報源。早い、深い。
  • 著書、思考を進化させていく。「進化」がキーワード。
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121108

  • 11時:矢内事務長と打ち合わせ
  • 12時:総研の松本先生と打ち合わせ。多摩の企業との連携の件。
  • 12時半:教育サポート室で金子さんと打ち合わせ。客員の木村先生、金先生。教員ラウンジで豊田先生とゴルフ談義。彩藤先生とも。井川職員の科研費申請を推薦押印。
  • 14時半:学長にいくつか報告事項。「宣教師東漸!」。
  • 14時50分:リレー講座:本日の講師は寺島学長。
  • 16時20分:ゼミ。「にごみ班」の進行状況を確認。キャリアの柴田さんと私とで3年生の5人ほどを対象に進路について面談。