「海賊と呼ばれた男」--愚痴をやめよ。ただちに建設にかかれ。

百田尚樹「海賊と呼ばれた男」(上下巻)を読了。

海賊とよばれた男 上

海賊とよばれた男 上

海賊とよばれた男 下

海賊とよばれた男 下

出光興産を創業した1885年(明治18年)生まれの出光佐三の95年の激動の人生を描いた小説。
2012年7月に刊行されたこの小説は、本屋大賞を受賞した。
人との出会い(日田重太郎、、)、石油という魔物の商品に着目したこと、戦争など激動の歴史の中で翻弄される主人公、何度も訪れる危機で出会う僥倖、アメリカと日本官僚と同業者とのえんえんたる戦い、家族と呼ぶ社員たちの奮闘、企業よりも日本を優先する思想、お世話になった人たちへの義理堅さ、危機に際し原則と方針を明確に指し示すリーダーシップ、禅僧・仙がいの絵との遭遇と蒐集(月は悟り、指は経典)、丁稚奉公の主人や神戸高商校長の影響、、、、。

このような人物が日本の石油業界にいたことの幸運を感じずにはられない物語だった。
NHKの「プロジェクトX」を大きなスケールとして実行した男の物語であり、血湧き肉躍る書きっぷりは素晴らしい。
このような真の日本人が様々な分野と業界にいたのだろう。その日本人が礎となって今日の日本がある。

一つの疑問は、こういった男の物語が、なぜ今、受けているのだろうかということだ。
この著者のデビュー作であり、大ベストセラーとなった「永遠の0」も同様なテーマを扱っている。
「日本人」というキーワードが、じわじわと時代に沁み出てきているのではないか。
混迷する時代を生きる指針を真の日本人に求めているのではないだろうか。
そうやって眺めてみると、テレビでは「八重の桜」「半沢直樹」「あまちゃん」などもそういった流れの中にあるようにみえる。

  • 黄金の奴隷たる勿れ
  • 愚痴をやめよ。ただちに建設にかかれ。
  • 士魂商才
  • 自分で工夫して答え見つけることが大切たい。それでこそ、きっちりとした人間になるち思う。
  • 誘惑に迷わず、妥協を排し、人間尊重の信念を貫きとおした五十年であった。
  • もしかしたら人類は石油など手にしないほうが幸せだったのではないだろうか。

さて、この本の中に神戸高商(現・神戸大学)の初代校長をつとめた水島てつ也に商人としての生き方を学んでいる。水島は中津出身である。今でも中津の金谷に水島公園がある。水島の父・均は豊前中津藩士福沢諭吉の縁戚にあたる。1864年生まれのてつ也は東京高商を出て横浜正金銀行に入行。38歳で神戸高商の設立を聞き、実業から教育へ転身する。
中津には、慶応義塾の創立者・福沢諭吉(1835年生)、麗澤大学の創立者・広池千九郎(1866年生)、神戸大学の初代校長・水島てつ也(1864年生)と3人の教育者がいる。

次はやはり「永遠の0」かなあ。

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カード情報が流出して不正に使われようとした。明日から旅に出るのにまことに不便。
実損は無かったが、いろいろと影響がある。

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