「小津安二郎の図像学」--芸術のことは自分に従う

京橋の国立近代美術館フィルムセンターで開催中の「小津安二郎図像学」を観る。
このセンターはわが国唯一の国立の映画機関。8階建て。映画上映のホールが二つある。
劇映画14700本、文化・記録映画28300本、アニメ映画2400本、テレビ映画6000本。
映画関係図書36000冊(和書29000。洋書4200)。シナリオ30000冊。ポスター46000枚。スチル写真638000枚。

小津安二郎(1903−1963年)は生誕110年、没後50年。世界的映画監督。
「永遠のウルトラモダン」を堪能した。この人は図案、色彩、文字なども描ける総合芸術家だった。
晩年のカラー作品は戦後日本の名画の宝庫と言われている。人物の背後に本物の名画を使っており、画面の構図や色調は厳密に計算されていた。

  • 浮世絵を130枚所有しいていた。小津映画と浮世絵は似ている。ローアングル。
  • 近代絵画:梅原龍三郎岸田劉生安井曾太郎会津八一。小林古径。前田青噸。山口蓬春。速水御舟東山魁夷。杉山寧。こういう画家たちの本物の絵を映画の随所に使っている。
  • グラフィックアーチスト:図案の小津
  • 本の装丁:色彩の小津
  • タイトル・スタッフなどの文字:文字の小津
  • コースターコレクション

自筆シナリオ・絵コンテ帳・撮影用シナリオがいつも用いる3点セットだった。

19歳:尋常小学校代用教員
20歳:松竹シネマ蒲田撮影所助手
24歳:監督
29歳:日本をリードする監督
34歳:入隊し中国戦線へ。
40歳:インド独立をテーマとする映画企画で南方へ
60歳:満50歳の誕生日に死去。

小津語録
「物事には作法がある」
「安物を粗末に使うな。良いものを大事に使え」
黒澤明は考える人、木下恵介は感じる人、小津は見る人ではないか」
「なんでもないことは流行に従う。重大なことは道徳に従う。芸術のことは自分に従う」
「名画の中で昼寝するのが一番の喜びだ」