日の出山荘 中曽根康弘・ロナルドレーガン日米首脳会談記念館

西多摩の「日の出山荘」。

中曽根康弘・ロナルドドレーガン日米首脳会談記念館。

日米の親善と東西冷戦を終結に導き、世界平和に貢献した両首脳の会談が行われた場所を公開した記念館。両首脳は1983年1月18日から1987年9月21日まで計15回にわたって会談を行っている盟友である。第5回の首脳会談が行われたのがこの山荘である。
1962年に母家と周辺の土地を別荘として買い取り「日の出農場」と命名、柱と梁を残して改築。草刈りや畑仕事を楽しんでいた。ときには自分で車を運転し山荘に来ていた。2006年に町に寄贈された。
1911年生まれのレーガン大統領(2004年没)より、中曽根総理は7つ下で1918年生れ。今年96歳の長寿。

1983年11月11日に山荘に到着したレーガン大統領をもてなした山荘。

  • 江戸末期の1850年ごろに建てられた茅葺の農家の「青雲荘」。90.90ヘーベ。レーガン大統領夫妻に囲炉裏を囲み中曽根総理が自ら甜茶を点ててもてなした場所。おそろいのちゃんちゃんこを着た。

総理が若者を育てた「青雲塾」から名前を取った。

青雲塾修学原理「生きたままの最高の芸術品にその人生を完成して世を去る事を修学の目標とする」

 くれてなお命の限り蝉しぐれ

  • ロン・ヤス会談が行われた「天心邸」。ここで中曽根総理、俳句、座禅、読書、短波放送などの趣味を愉しみ寝泊まりしていた。24.79ヘーベ。通訳なしで会談を行った。

レーガン大統領からは後に「日本の伝統ある美しい農家のたたずまいと、東京郊外の静かな風情の中での会談は、日本の思い出の中でも、とりわけ印象が深かった」との礼状が届いている。

 われに鳴く油蝉あり庭の桐

  • 1989年(平成元年)に新築した2階建ての迎賓館「書院」。370.63ヘーベ。総理退任時に政治の舞台で苦労をともにした友人たちを招いた。

「限りある命ゆえ命の限り自然と人間とわが祖国を愛す」(中曽根康弘

この広いバルコニーで食を楽しんでもらう洋風と、青雲堂や天心邸で茶を点てもてなすという和風という明治期の接客を意識した山荘だ。

  • 「庭園」。5738.31ヘーベ。訪れた各国首脳、友人たちが植樹した記念樹、俳句碑、全斗カン大統領から寄贈された半鐘、総理愛着のガマガエルなどがある。ゴルバチョフソ連大統領も訪れている。

帰って、山荘で買った「中曽根康弘句集」から。
「特に師匠もいなく、季語も忘れ、体裁も整わず、感慨を句に托してよろこびを感じている日本人が何百万人といると思うが、私もその一人である。」

 賓客と歩む山荘秋深し
 したたかと言はれて久し栗を剥く
 遠近の蝉鳴きそろひ朝となる
 
 この花を母にそへたきあやめかな(衆議院議員初当選)
 老朋友の掌のむくみ秋天下(胡耀邦総書記と再会)
 鐘鳴りて地の時とまる原爆碑
 午後の日のまぶしき秋に官を辞す(内閣総理大臣を辞す)
 秋晴れや風吹きとほる家に帰る(、、)
 面映ゆき畏き御沙汰風薫る(大勲位菊花大綬章)
 千年の波打ち寄せて年明ける
 空はるか桜はるかへ球打てり(娘夫婦、孫とゴルフ)
 燗酒のあぢはひあらた職を辞す(国会議員を辞す)
 木枯しや一本の杉たじろがず
 人生はいよいよ尊し風薫る

                                                                  • -

「つるつる温泉」で食事と入浴。

                                      • -

町田市民文学館で開催中の「尾辻克彦赤瀬川原平--文学と芸術の多面体」を観る。

最終日なので人は多かったが、パンフレットが売り切れだったのは残念。
美術家・赤瀬川原平は、芥川賞を取った作家を名乗る時は尾辻克彦となる。
1937年生れ。60歳、玉川学園にニラハウスを建てる。62歳、「老人力」が40万部のベストセラー。2014年10月77歳で没。
赤瀬川の斬新な広告などの作品や考現学と称する作品群を観た。

「自分は画家なので、文章だったら軽く書けると思った」という赤瀬川は独特の文体で芥川賞をさらっている。」

「肌ざわり」は中央公論新人賞。
「父が消えた」は1981年の芥川賞
「秀吉と利休」(野上弥生子原作の脚本)は1987年の日本アカデミー賞脚本賞
「生き方の鑑  辞世のことば」

書斎には大きな机があり、その周囲に椅子、ソファなどが置かれている。

                                                          • -

夜は、映画「大統領の執事の涙」をDVDで観賞。
アメリカの公民権運動がテーマで、大統領の執事となった黒人の父親と運動に身を捧げる息子との葛藤の物語。この執事はアイゼンハワー大統領、ケネディ、ジョンソン、ニクソン、カーター、レーガン、と仕え、最後は初の黒人大統領オバマに会うというストーリー。