浦達也「実感の同時代史---戦争からラストモダンまで」(批評社)

NHKのディレクターでニューアカデミズムの仕掛け人だった浦達也さんが、

新著を出した。1932年生れの著者は、振幅が極端に大きく特異な実体験と

独自な立ち位置、そして複数の活動拠点(ジャーナリズムとアカデミズム)

を持って活動してきた人物である。レトロ・フューチャーというキーワードを

縦横に駆使しながら文明や時代を語ってきた。

本書は敗戦から現在に至るまでの自分史を語りながら、同時代史を紡ごうという

挑戦的な試みである。著者渾身の書。

敗戦直後のヒロシマを舞台とした国策「特別科学学級」の経緯と実態、

闇市を浮浪する不良少年、田舎と下町、NHKの悲劇、百花斉放の知の地殻変動

ニューアカ旋風と新人類ブーム、アカデミズムでの実験と卒倒、、、、。


この本に出てくる同時代を生きた登場人物の名前を挙げてみよう。

永井柳太郎、湯川秀樹、永井道雄、香月泰男三島由紀夫小林信彦生田萬

中沢新一寺山修司太宰治角川春樹野村秋介、坪野哲久、木村哲人、

西舘好子、小津安二郎立花隆、樺美智子、浅沼稲次郎、島成郎、司馬遼太郎

福間健二大島渚、蜷川幸夫、上田哲、島桂次海老沢勝二梅原猛、斉藤俊彦、

河村雄次、増田通二、水野誠一、磯崎新中井久夫風間杜夫糸井重里南伸坊

栗本慎一郎田中康夫宮台真司吉本隆明、埴輪雄高、浅田彰、佐橋滋、松田義幸、

三浦雅士川本三郎山口昌男小沢昭一上野千鶴子、清水博、小田晋岸田秀

公文俊平中森明夫、井上リサ、伊藤俊治、内藤千佳、西本直人、、、、。

本書の内容を簡単にまとめるよりも、人物の名前を連ねる方がメッセージ性が高い

かもしれない。


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