「シンドラーのリスト」

第二次大戦で4600人のユダヤ人にヴィザを出して救った外交官・杉原千畝は、日本のシンドラーと言われている。石巻文化センターに資料展示している弁護士・布施辰治は日帝時代の朝鮮人の弁護を無償で手がけ、韓国人から日本のシンドラーと呼ばれている。


このシンドラーとは何者だろうか。

本物がわからなければ駄目だということで、「シンドラーのリスト」というビデオ2巻を観る。ドイツ人経営者シンドラーナチス面従腹背しつつ、ユダヤ人を1100人救い出すという物語である。ゲットーでの生活ぶり、虫ケラのように安易に殺されるシーン、間違えてアウシュビッツで殺されかかったときの女性たちの様子、、、。シンドラーはやり手の経営者で深くナチス軍人に近づいていくが、心の中はユダヤ人に対する同情であふれている。それを隠しながら、商売と見せながら最後は故郷に1100人のユダヤ人を集め、工場をつくる。戦争に使う物資をつくる工場だが、製品はつくらないで済ます。金が尽きたそのとき、ドイツが降伏する。シンドラーが最後に工場の中で、ユダヤ人とナチス軍人の前で行う演説もよかった。シンドラーは一転して追われる立場になるが、ユダヤ人たちは感謝のために様々な手を尽くす。戦後シンドラーは結婚と事業に失敗するが、イスラエル政府は、シンドラーに「正義の人」賞を送る。この賞は杉原千畝がもらったものと同じである。最後、シンドラーの墓の上にお世話になった人びとが石を一人一個ずつ置いていくシーンだった。映画の中に登場した人物が後年の姿で本人が出ているのには驚いた。いい映画である。10年ほど前の作品でオスカーの多くの賞をとったのも当然だと感じる。この映画が、あのスピルバーグ監督の作品だったことにも驚いた。