島津創業記念資料館(島津製作所)で見つけた訓語(島津源蔵)

土日に京都と滋賀の人物記念館を訪問した。

末川博、大河内伝次郎新島襄河井寛次郎橋本関雪などである。訪問記は別途書いていくが、島津製作所の創業記念資料館で、面白い言葉を見つけたので記しておく。二代目島津源蔵の訓語である。

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事業の邪魔になる人


自己の職務に精進することが忠義である事を知らぬ人

共同一致の融和心なき人

長上の教えや他人の忠告を耳にとめぬ人

恩を受けても感謝する心のない人

自分のためのみ思ひ他人の事を考えぬ人

金銭でなければ動かぬ人

艱難に堪へずして途中で屈服する人

自分の行ひに就いて反省しない人

注意を怠り知識を磨かぬ人

熱心足らず実力なきに威張り外見を飾る人

夫婦睦じく和合せぬ人

物事の軽重緩急区別の出来ぬ人

何事も行ふにも工夫をせぬ人

国家社会の犠牲となる心掛けのない人

仕事を明日に延す人



家庭を滅す人


自分の一家と国家とのつながりを知らぬ人

2両親及び兄姉を敬わず夫婦和合せぬ人

身分相応を忘れる人

毎日不平を言うて暮す人

相互扶助を知らぬ人

嘘を言ひ我儘を平気でする人

不用の物を買ひたがり無駄事に多くの時間をつぶす人

夜更ふかし朝寝をし実力を養成しない人

失敗したときに勇気を失ふ人

非礼なことを平気でする人

今日積む徳が明日の出世の因となることを知らぬ人

先輩を軽んじ後輩に親切に尽くさぬ人

他人の悪口を言ひ争ひを好む人

秩序を守らぬ人

今日一日の無事を感謝せぬ人



以上の三十ケ条はいづれも処世の要諦であって充分に之を理解し且つ実行に努むる時は


職務上独特の技術を発揮して無くてはならぬ人となり

人格を向上し性格を円満ならしめ諸人の愛敬を受け

以て立身立家立国の三大任務を完成することができる


然るに若し之を読むも皮相にして底の真理を味解するに至らず或はただ知るのみにして之を貫き行ふの熱意を欠く者は必ず一身一家を破滅の淵に陥れるのである。