「日本人が行けない「日本領土」」--北方領土・竹島・尖閣諸島・沖の鳥島・南鳥島上陸記

小学館の「本の窓」に報道写真家・山本こう一さんのインタビューが載っていた。

「日本人が行けない「日本領土」」という本には興味を持っていたが、著者インタビューを読んで買うことにした。


山本さんとは20年ほど前に一度一緒に旅行したことがある。10数人の同行のジャーナリストのなかで、言動がとんがっていたので鮮明に記憶している。バスでも船でも、この人は常に一番前か一番高いところに陣取ってカメラのシャッターを切っていた。その理由を問うと「一番見晴らしがいいところに陣地をとるのだ」との答えで、感心したことがあった。

当時「棄民」という言葉を使っていたことを思い出す。日本から捨てられた民を追いかけていて、移民や残留孤児などの話を聞いた記憶がある。

その後、時折報道写真家としての仕事がマスコミに取り上げられるのをみて、活躍しているのだなあと気にかかかっていた。


山本さんが出したこの本は、ロシアが占拠する北方領土の択捉(エトロフ)島、韓国と領有権を争う竹島、台湾と中国が領有権を主張する尖閣列島魚釣島、アメリカから平和裏に返還された南鳥島地球温暖化で海中に沈む可能性のある沖ノ鳥島などを取材したものだ。


日本は国土としての領土は世界で60番目の広さだが、排他的経済水域EEZ)を含めた領土では世界で6番目の広さになる。排他的経済水域という考え方は、島の周辺二百海里を準領土として認めるというもので、海底資源や漁業権の及ぶ範囲が大きく違ってくる。


「その島を誰が見つけて日本人がどういう活動をしてきたかという歴史的事実を地道に知らせていくことが大事なのではないかと思います」と山本さんは語っている。


問題提起の書である。

早速、注文することにしよう。