「視聴率の怪物プロデューサーの現場発想力」(王東順、、・講談社+α文庫)---「なるほど!ザ・ワールド」の名プロデューサー王東順さんの世界

10年以上前、フジテレビに「なるほど!ザ・ワールド」という高視聴率のお化け番組があった。そのプロデューサーは王東順さんといって業界ではヒット企画を連発する有名人だった。ビジネスマン時代に王さんの仕事に少し関係したことがあった。悠揚迫らぬ物腰と柔らかい物言いと飾らぬ人柄に感銘を受けたことを思い出した。





そのきっかけは「視聴率の怪物プロデューサーの現場発想力」(講談社+α文庫)という本だ。この本はテレビ界最高の企画マンの発想の秘密を披露した本だが、当時の王さんの考えていたことや見えなかった生活を垣間見ることができて、楽しい読書だった。


自分に与えられたテーマを24時間考え抜いたこと、そのためにあらゆるヒントをメモしまくったこと(ノートは100冊以上に及ぶ)、一緒に仕事をする仲間を大切にしたこと、妥協のない丁寧な仕事を突き詰めたこと、こういうことが発想の源だったことがよくわかる内容になっている。テレビのプロデューサーとして得た企画能力は他の仕事でも生きており、普遍的な能力と方法と技術であったことがわかる。


「なんでも一生懸命やっておけば、のちにそれが自分に還元される」

「私はマスマーケティングというものをあまり信用していない」

「私が心がけているのは、面倒がらずに人に会う、ということだ」

「ほかの人がやったことと同じことは絶対やらない」

「キーマンを押さえる」


「クイズ!ドレミファドン」「早押しイントロクイズ」「クイズ!年の差さなんて」「オールスー大運動会」「夜のヒットスタジオ」「歌だ!飛び出せ 2万キロ」「出たMONO勝負」「ハナキンスタジオ」「新春スターかくし芸大会」「めざましテレビ」「7人のHOTめだま」「なるほど!ザワールド」と王さんのプロデュースした番組を並べると、その凄さがわかる。


一度、どこかの温泉で「なるほド」のスタッフ忘年会に呼ばれたことがある。司会の楠田枝里子さんもいて楽しくワイワイいいながら過ごしたこともある。

当時は各局のいろいろな番組に関わっていたこともあって、テレビ業界の面白さ、凄まじさ、華やかさ、いい加減さ、、、などを感じていた記憶があるが、王さんの誠実な仕事ぶり、いきかたは独特だった。


いずれにしてもこの書は、ビジネス指南書として、企画のノウハウ本として、すぐれた書物であることは間違いない。