第6回日総研フォーラム

先週東京の時事通信ホールで行われた第6回日総研フォーラムの議論を聴いてきた。


今回のテーマは「世界新潮流と日本の立ち位置(ヨーロッパの行き方に学ぶ)」である。

このフォーラムは日本総研会長の寺島実郎が、毎回ゲストを招いて議論するという構図である。今回は、朝日新聞木村伊量(54歳。早大・ワシントンで寺島と一緒)と東大の藤原帰一(東大政治学の灯火)がゲストだった。


木村は17日に朝日の欧州総局長から戻ったばかりで最新の欧州情勢を基礎に「日本が学ぶべきものは、ルールをつくろうとしていること(水質、、)、モデルをつく力(新しい公共、ソーシャルエンタプライズ、、)、二者択一ではない行きかた(是々非々、緊張関係)である」と述べた。


藤原は日本は西欧の一員(欧化)か、アジアの一員(土着)かを明治以来持っているとした上で、宗教、民主主義、市場と政治、国際政治の4つのポイントから、欧州とアメリカ、そして日本の状況を見事に整理。

アメリカは宗教心が厚いが欧州は薄い。日本は宗教を理解しない。

欧州は自覚した人のみに自由を与えるという考え方から民主への道(キリスト教民主主義社会民主主義)を歩んだ。

アメリカでは民主化は終わっていてこれを世界に広めようという考え方だから民主は保守主義の中核思想。日本はアメリカ型の民主主義ひと筋。

アメリカは民主主義と資本主義は戦争(日本の公共事業にあたる)によって結びついている。欧州は左右両翼とも大きな政府を維持してきた。日本はグローバル化をアメリカ化ととらえた。

欧州は世論と外交は異なると考える伝統外交で灰色的。アメリカは外交にも市民が参加する仕組みだから選挙で方針は簡単に変わる(北朝鮮政策が典型)。日本は日米同盟至上主義だが状況によって組み立てる欧州型が必要。


寺島は二人の議論を受けて、成長力と産業力という議論を展開。イギリスの成長は金融(7%成長)と不動産で活性化しているが、技術は空洞化しており産業力(マイナス0.4%成長)は衰退している。電力企業の半分はドイツなど外国傘下にあり、自動車もドイツとアメリカの傘下にある。ドイツは成長は弱いが産業力では圧倒(EUという名のドイツの強化)。EUはアメリカとロシアに挟まれており、欧州の欧州化、アメリカからの積極的自立がテーマ。


以下、「欧州の実験」に関して、「日欧関係」と3人発言が続き、最後に寺島の総括講演で終わった。


このフォーラムには200人ほどの人がいたが、ひと言も聞き漏らさないようにしている人が多いだろうか、静謐で張りつめた雰囲気の中で2時間以上があっという間にたった。


終了後、知研の八木会長と秋田事務局長と東京駅でお茶を飲んで最終の新幹線で仙台へ。