信州の人物記念館の旅。ーーーまずは小諸と長野。

信州の旅。妻と二人の車の旅である。


まず「はるかなる古城のほとり雲白く、、」で始まる島崎藤村藤村記念館を訪問。記念館は小諸城址懐古園にある。藤村は小諸の小諸義塾での教師生活で7年間住んで代表作「破戒」を書き始めた。藤村先生は生徒の作文帳の添削欄に「文章は親の肩をもむがごとくに作るべし。大切に用意するを第一とす」などを朱書きしており、興味深い。


同じく懐古園の中にある、文化勲章受賞の画家を記念した小山敬三美術館。浅間山を描いた画家で、大ぶり、悠々、骨格の太い雄渾な絵である。年上の藤村とは生涯の友人だった。新高輪ホテルのロビーの「紅浅間」は小山の作品である。この木立の中に建つ美術館は毎日文化賞をとった素敵な建物である。


同じく、小諸寅さん記念館も訪問。山田洋次監督と渥美清の資料の揃ったややバタ臭い記念館。


懐古園を出て、小諸にある高浜虚子記念館を訪問する。戦時中、虚子は76歳からの4年間をこの小諸で疎開した。「秋晴れの名残の小諸杖ついて」「俳諧の旅に日焼けし汝仲哉」「虹たちて忽ち君のあるごとし」などの作品をのこしている。企画展は「虚子 小諸疎開を迎えた人々」だった。



その後、長野市へ向かう。

夜は善光寺のそばにある藤屋御本陣という今人気のレストランで食事をする。加賀百万石の御本陣だったが、明治時代には福沢諭吉も宿泊している。大正12年に3階建ての洋館になったのだが、最近結婚式場を持つレストランに生まれ変わった。素敵な空間と吟味された素晴らしい食事を堪能した。野田一夫先生の三男の豊さんが経営しているレストランで、東京の旧満鉄総裁邸宅を改装した羽沢ガーデンや京都のガーデンオリエンタルと同じテイストである。