「フェルメール展」(東京都美術館)--iタッチシート

上野の東京都美術館フェルメール展が開催されている。この画家(1632-1675年)の名前は最近よく聞くようになった。NHKの「新・日曜美術館」で取り上げられていて興味を持った画家である。新聞や交通機関の広告を派手にやっているので、よく目に入る。東京都美術館では、20分待ちとの表示だったが、ずいぶんと人気がある。代表作の「真珠の耳飾りの少女」という作品の振り向いた少女の目が印象深い。
フェルメールはオランダのハーグの近くのデルフトという小都市に生まれたのだが、生涯で30数点しか残していない。光を紡ぐ独特の技法の美しさを愛する人は多く、光の天才画家と呼ばれている。「真珠の耳飾の少女」という作品は残念ながら入っていなかったが、このうち7点が今回の来日となった。

手紙を書く婦人と召使い
ワイングラスを持つ娘
小路
ヴァージナルの前に座る若い女
マルタとマリアの家のキリスト
ディアナとニンフたち
リュート調弦する女

窓から入る光線でできる微妙な陰影が印象的である。「リュート調弦する女」では暗い部屋の中で窓の光で女の顔が白く浮かび上がっている。また、「ヴァージナルの前に座る若い女」でも部屋の左上にある窓から差し込む光で、着ている服のしわが明るい部分と暗い部分が際立っている。そして若い女の顔の表情にも陰影が表現されている。「手紙を書く婦人と召使い」でも窓から差し込む光で婦人の半身が白く光、もう一方の半身の方はやや暗い描かれている。召使いの顔の表情の陰影も豊かである。確かに光の天才画家である。

こういった美術館や企画展では、最近は有料のヘッドフォンによる解説があり毎回楽しんでいるが、この美術館ではiタッチシートというシステムが導入されていた。タッチペンで手持ちの絵をタッチすると音声が聞こえてくるという趣向である。ナレーションはテレビでよく見かけるアナウンサーの朝岡聡だった。

東京国立博物館の「対決 巨匠たちの日本美術」もそうだったが、協力企業の中に日本航空の名前が見える。こういった展覧会では絵の移動が必要となってくる。美術品の輸送は気を使う仕事であるが、とくに海外からの移送にあたっては航空会社の協力が不可欠となるから必ず協力企業に航空会社の名前をみることができる。今回の二つの協力航空会社は日本航空だった。

フェルメール展を終えると上野の森は激しい雨となっていた。喫茶店で外をみると木々が水を吸って、実に美しかった。