「せまじきものは宮仕え」---菅原伝授手習鏡--寺小屋

k-hisatune2009-05-29

午前は、講義。過去6回の講義のおさらいの意味で私が監修し、出演もしているDVD「企画・プレゼンに活かす図解表現の技術」(日本経済新聞社)を見せる。

午後前半は、1年生対象のプレゼミ。4人の教員チーム(椎木先生、中村その子先生、山原先生、私)で指導するのだが、テーマはNPO。指導の中で図解を用いることになっているので、私の出番も多い。

午後の後半は、諸橋学部長と一緒に長池公園の自然館を訪問する。富永館長と国土交通省国土計画局の広域政策を担当する堀尾企画官と面談。三者にとって有意義な情報交換となった。15時半から18時過ぎまで。
二人の青年の同席があったが、彼らは今年入省した総務省の官僚(丸尾さんは地域創造グループ地域政策課、矢後さんは地域力創造グループ地域自立応援課)で、新人研修の研修先としてこのNPOが管理する自然館に来ているとのことだ。富永館長の動きについていきながら学ぶという研修スタイルだそうだ。通常は、県庁や市町村という行政現場が研修先となるのだが、今年はNPOが研修先となった。官庁内部にも動きが出ているということだろう。

夜は、NHK教育の「芸術劇場」の歌舞伎「菅原伝授手習鑑」の「寺小屋」を観る。

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歌舞伎の義太夫狂言を代表する屈指の人気演目。首の詮議にやってくる大役・松王丸を片岡仁左衛門が演じる。義太夫に造詣の深い仁左衛門が、親子の別れと悲しみをたっぷりと描く、必見の舞台。

<演目>歌舞伎「菅原伝授手習鑑」(スガワラデンジュ・テナライカガミ)〜寺子屋
竹田出雲・三好松洛・並木千柳
<出演>松王丸:片岡仁左衛門 武部源蔵:中村梅玉 源蔵女房戸浪:中村魁春 御台園生の前:片岡孝太郎 菅秀才:片岡千之助 春藤玄蕃:市川段四郎 松王女房千代:坂田藤十郎ほか
<収録>2008年11月25日・歌舞伎座(東京)

演目については、文楽研究家の高木秀樹さんの解説を見つけたのでそれを転載。
http://74.125.153.132/search?q=cache:ZK6MVjNoFQcJ:www.emo.or.jp/emo/organ/vol35/special4.html+菅原伝授手習鑑+寺子屋&cd=85&hl=ja&ct=clnk&lr=lang_ja

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今回は昼の部に時代物の大曲『菅原伝授手習鑑』と景事の『釣女』。夜の部に世話物の人気曲『曽根崎心中』をご覧いただきます。  
時代物は江戸時代以前の事件をテーマにした歴史ドラマで、登場人物も公家や侍といった、いわば時代劇。一方、世話物は江戸時代の現代劇で当時の庶民がモデルです。  
そのように登場人物は変わっても、文楽で描かれるストーリーの基本は変わりません。それは、人の情・情愛を描いているということです。『菅原伝授手習鑑』では、政治の犠牲となり引き裂かれる親子の情愛を。『曽根崎心中』では、この世では結ばれなくても、せめて、あの世では添い遂げようとする、若い男女の情愛を描きます。

◆せまじきものは…
昼の部『菅原伝授手習鑑』の菅原とは、平安時代の学者で政治家でもあった菅丞相・菅原道真のこと。丞相は政治的なライバル・藤原しへい時平の讒言により筑紫国に流罪となり、さらに丞相の若君・菅秀才の命が狙われます。時平側は若君を匿う寺子屋の師匠・武部源蔵に、若君の首を渡せと命じますが、源蔵は若君を救うため、新入りの寺子・小太郎の首を打って身代わりにしようと決意します。
若君を助けるため、忠義のためとはいえ、何の罪もない子を殺さなければいけない苦しさ。源蔵は思わず「せまじきものは宮仕え(宮仕えなどすべきでない)」と本音を口にするのです。

◆どんでん返しの展開
やがて、時平方から来る首受け取りの者。首の真偽を確かめる首実検の役を務めるのは、時平に仕える松王丸。実は、その松王丸の名付け親が菅丞相で、親兄弟も丞相の世話になり、彼は丞相に深い恩義を感じつつ敵方に仕えていたのです。そして首実検。首桶の中には若君でなく身代わりの小太郎の首。松王丸は「若君の首に相違ない」と言い放ったものの、憂いの表情。
このあと物語は思わぬ方向へ。何と身代わりで殺された小太郎は松王丸の子で、彼は我が子が殺されるのを覚悟の上、寺子屋に送り込んでいたのです。すべては丞相へのご恩返しのため。これも忠義が生んだ悲劇でした。

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中期展望として「歌舞伎鑑賞」もテーマとすることにしたい。