「老人が戦争を起こして、若者が死ぬ」−リレー講座は寺島実郎学長

k-hisatune2009-11-05

本日のリレー講座は、寺島学長の講義。

  • 09年1月ー9月の日本貿易構造は、米国13.5%(1970年27.4%、04年は18.6%)。中国20.5%、大中華圏30.6%、アジア49.4%。
  • グレーターチャイナ(大中華圏)。国民党の馬総統も関心。陸の中国(建国60周年・天安門20周年)と海の中国(香港、台湾、シンガポール)。ネットワーク的発展(相互補完。域内比率は50%へ)
  • 日本海物流の時代。中央自動車道関越自動車道が八王子でつながる。間もなく東名自動車道とも。新潟へ、。そして釜山へ。太平洋側と日本海側がつなぐことが重要。釜山トランスシップ。四国も。仙台も。モノの動きが変わってきている。
  • 日米安保は冷戦時代には有効だった。戦後65年経ったのに外国軍が駐留しているはおかしい。常識に還ろう!ドイツは米軍基地を93年に圧縮、地位協定も改定。日本の90年代は宮沢政権以来短命内閣で日米関係の見直しはなかったまま、準備不足のまま小泉政権グローバリズムに乗ってしまった。
  • 9・11以降の「しかたがないじゃないかシンドローム」。
  • この8年間で米軍兵士はイラクで4339人、アフガンで822人、計5161人が死亡。5000人のアーリントンの墓地のイメージ。イラク人の死者は10万人から18万人。
  • 「老人が戦争を起こして、若者が死ぬ」
  • アフガンは、「オバマベトナム」になる可能性。泥沼。カルザイ政権に正統性はあるのか。日本は2000億円を突っ込んできた。
  • アフガン復興の仕組みの再構築が必要だ。
  • オバマは第二のFDR(フランクリン・ルーズベルト)か、第二のカーターか?
  • 4700万人のアメリカ人が健康保険に入っていない。オバマは健康保険制度をやろうとしているが、それは社会主義だとして反対が多い。
  • アメリカは、天才とホームレスの国である。高い能力のある人には楽しいが、普通の人以下ならホームレスにもなりかねない国
  • 日本は中流幻想が崩れてきて、貧困率は15.7%。今回の政権交代には、格差と貧困の問題が横たわっている。
  • 雇用者5539万人のうち、非正規雇用者1760万人。3人に一人は非正規雇用
  • 非正規雇用者のうち、年収200万円以下は74%の1305万人。
  • 自営業の年収200万円以下を加えると、労働人口6376万人のうち、年収200万円以下は2196万人。3人に一人は200万円以下。
  • 年収200万円とは、時給1000円のコンビニのレジ、居酒屋の店員で、いくら働いても超えないレベル。
  • IT化によって、仕事の中身が平準化され(バーコードなど)誰がやっても同じ仕事になってきている。
  • グローバル化。途上国は時給100円ということで、時給はアップしていかない。
  • 大リーガーに代表されるような「余人を持って代え難い」能力には大きな勝ちがつく。
  • この流れは続いていく
  • RFID(MITが開発中)という新しい技術革新は、すべての賞品にチップが組み込まれ、レジが要らなくなる。そういう時代がすぐくる。そうなると時給1000円の仕事もなくなる。
  • こういう時代には、時間を切り売りする仕事(生活)と尊敬される仕事(NPO/NGO)のダブルジョブなど、仕事と生活を柔らかく設計せねばならない。

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寺島学長は、リレー講座のあと、多摩大付属聖ヶ丘中学校・高校の先生達に短い講演をした。昨日の午後アメリカから帰ってきて本日の夜まで、総理を含む閣僚4人と面談というまことにハードなスケジュール。写真「今日の一枚」は、聖ヶ丘中学校・高校での講義風景。
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ゼミ生にはリレー講座に出るように言っていたが、多くが出席して話を聴いていた。
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ファンであるヤンキース松井秀喜は、ワールドシリーズの第6戦で3安打1ホームラン6打点と大活躍し、MVPを獲得。まさに「余人を持って代え難い」人には、大きな価値がつく。「辛いときはなかった。試合ができれば辛くない」というコメントも素晴らしい。研究室でインターネットで一球づつの速報を見ていたが、ホームランにいたる一球速報もおもしろかったが、最後の8球目はホームランだった。

ヤンキースとの契約最終年度にワールドシリーズに出て、最終試合で爆発し最高の栄誉であるMVPに輝くというシナリオをみると、神様がいるとしかいいようがない。