「日本への回帰」(学部)と「2010年の日本経済」(大学院)

本日の講義のテーマは「日本への回帰」。
取り上げた偉人は、司馬遼太郎柳田国男岡倉天心古賀政男柳宗悦池田満寿夫東山魁夷夏目漱石南方熊楠・村野四郎・小野道風
寺島実郎「世界を知る力」と知研編「知の現場」の紹介をしておいた。NHKの「坂の上の雲」に影響もあり、司馬遼太郎に関心が高かった。

昼休みは、杉田先生と少し話。樋口先生に「中津の少年時代」が載っている「邪馬台」を手交。

一旦自宅に戻り、我が家にとって大事な来客者に会う。

夕方、品川で昔の上司(中村いささん)が役員をつとめている研修企画会社と仕事の打ち合わせ。

夜は社会人大学院の講義「社会的合意形成論」の7回目。本日の材料は、最近発刊の「日本の論点2010」(文芸春秋社)の日本経済に関する識者の論考。論者によって長期と短期の経済予測が違うが、まさに論点が明確になった感じがする。Twitterも話題になったので、参入者も出てくるだろう。
「経済成長はもはや幻想か。成長モデルは終焉した」「安全・安定は、停滞・衰退に同じ。危機意識こそが企業を成長させる原動力」「年功序列、定年なし。社員に安心と希望を与えるのが中小経営の要諦」「大成功は失敗の連続から生まれる。たゆまぬ創意工夫こそ唯一の活路」「社会問題を持続可能なビジネスによって解決せよ。社会起業のすすめ」「問題は成長率ではない。今こそ産業構造を転換し、生活の豊かさを実現せよ」「危機は去った。米国主導で世界経済がV字回復する理由」「あなたの会社の明日は大丈夫か?こんな経営者が会社をダメにする」「ゼロ成長下の豊かさ論を排す。実質2%成長が可能である大いなる根拠」、以上9点。

以下、現時点までの受講者の感想。(順次、追加していく予定)

  • 本日の講義は、最近発刊された2009年度版の日本の論点の経済に関する項目を一人一人が筆者が違うものを担当し今後の日本の経済活動についてを見るものでした。私の担当は財部誠一さんが書かれた、日本の企業はイノベーションで頑張って行こうと言う内容でした。イノベーションを行う企業として、ブラジルで成功している味の素と日本から世界に発信しているユニクロを例として取り上げられていました。ユニクロを例にすると一割の成功でもこの不況下では最高益を出している。財部さんが言うイノベーションのひとつは温故知新と言うことも有りなんだ、幾つかの失敗も成功のための勉強ととらえれば、それを肥やしに失敗をしないためにどう売ればよいか発想を変えて次に成功すればよい。そして、営業は地道に行うことと共に、大胆に消費者へインパクトを与える広告を打つことでヒットすることもある。人はものを購入することはやめない、ではどういう手を打つかそれを考え抜いて、あらゆる手を打って刺激し消費を駆り立てるそんな活動をやめてはいけないと言うことだ。他の人の図解を見ると、それぞれ個性が出ていてしかもとらえて主張しているところに工夫をしている。図解に正解はないようであるが、論点を整理し相手に理解させるには良いものであると再認識しました
  • 今日私は、「日本の論点」の飯田泰之氏の主張を図解しました。内容は、「実質2%の経済成長が必要であり、それは可能である」というものです。飯田氏の主張としては、生産性向上に伴って経済成長をしなければ失業が発生するなど、分かりやすい論点を述べられていたので図解にも比較的落とし込みやすかったです。しかし、具体的な成長策となると、「日本の論点」の様々な論客も主張が異なることが分かりました。私が担当した飯田氏は、高機能・高付加価値製品の生産を主眼においていましたが、他の方が読まれた記事では政府主導の内需拡大策を提案していたり、公益分野の民営化が提案されていたりと様々でした。日本の進むべき道も、捉え方によって実に多様であり、こうした論点をまとめあげていく、社会的合意形成、構想力がトップマネジメントに必要なのだろうと感じました。単に記事を図解するだけにとどまらず、相手との合意を図る図解能力というのが大切なように思いました。
  • 18日(金)の授業は{日本の論点」から経済にかかわる論説を、みんなで図解しました。私の担当はユニクロ社長の柳井氏のものです。図解してみて、柳井氏の論述は、見事に起承転結になっていました。ポイントは、1.ユニクロは、狭い日本市場で一人勝ちしようとは全く思っていない。世界市場でお客様に評価される商品を出し続けるのだ。結果、低価格カジュアルから高品質カジュアルに変身したのである。2.危機感を持って、取り組むことで2020年には世界一になる。そのためは日本の代表となる。競合は国内アパレルではなく、世界のトップアパレルであり、他業種なのだ。3.危機感もなく、過去の成功にすがってきた大企業はリーマンショックで大幅に赤字に転落した。その回復のために、経営責任を取らず、非正規雇用の大幅なリストラを断行したのは日本の企業文化から外れた行為である。4.今や日本経済はグローバル化し、世界の市場を陸続きになている。狭い日本のマーケットの中で経済を論ずるのは無益・不可能である。世界市場を見据え、危機感を持って経営に取り組むことでミらくぃは開ける。以上が柳井氏の主張で、正論、かつ納得できる内容でした。多くの企業経営者が本気になって変革に取り組ミ、この閉塞した時代を切り開いてほしい。
  • 第7回目の昨日(12/18)、私は、「社会起業のすすめ」という副題が付けられた論説を図解しました。筆者の駒崎弘樹氏は、病児保育のNPO「フローレンス」を起業して成功。躍進中の若き社会起業家です。論旨が明解で図解し易かっただけでなく、全てを肯定的に捉える瑞々しい精神がみなぎる文章から元気と勇気をいただきました。前半はご自身の経験。社会起業家になろうと決心したいきさつに始まり、NPO「フローレンス」の全国初、世界初のユニークなしくみに言及。さらに、事業の成功が多くの働く母親を支援しただけでなく、厚生労働省に影響を与えて公営の「フローレンス」型病児保育のしくみの誕生をもたらしたことなどが書かれています。後半は、リーマンショックによって露呈された従来の資本主義の限界に触れ、今後は、お上に依存する体質から脱却し、国民が事業を通じて社会問題を解決していこうではないか、と呼びかけています。天下り特殊公益法人による事業や行政直営事業の領域をソーシャルビジネスに任せ、内需産業の活性化、大量の雇用創出を図ってはどうかと提案は非常に具体的です。また、実現に向けて「社会的企業法人」という新たな法人格を創設することも提唱しています。お上に陳情するといった常套手段にエネルギーを費やすことなく、智恵を傾けて果敢に社会問題の解決に立ち向かうスマートな若者の行動力に啓発された図解演習でした。