「北東アジアを知ること」(金美徳教授)−−多摩大リレー講座

k-hisatune2010-05-20

本日のリレー講座は、多摩大の金美徳教授。「「北東アジアを知ること」は、日本を相対的に知ること、そしてアジアを知ることである」という話から始まった。本日のテーマは、北東アジア経済、北朝鮮経済、韓国企業の動きの3つである。今日は前2者はおさらいをして、「韓国企業」を取り上げる。

  • 北東アジアは、日本・韓国・中国・ロシア・北朝鮮・モンゴルの6ヶ国
  • 東アジア=北東アジア+アセアン10ヶ国
  • 東アジアは、世界経済の20%、世界人口の28%
  • 東アジア共同体構想、上海協力機構(中国・ロシア・中央アジア)、APEC(21ヶ国:本年は横浜、来年はウラジオストックで総会)、環渤海経済圏
  • 渤海経済圏(九州・韓国・北朝鮮華北)のGDPは世界の3.1%、人口は4億人。ASEAN(2.1%)よりも大きい
  • 北東アジアは、域内貿易依存度が2-3割と高い。
  • 北東アジアの地政学的立地
  • 1ユーラシア大陸経済圏のの中核(環日本海メコン経済圏・ヒマラヤ経済圏・シルクロード経済圏・モンゴル経済圏、などのネットワーク型の原動力)
  • 2日中韓は北東アジア、世界をリード(日韓企業連携が活発化、大型化。サムソンとソニー、ドコモ。トップ企業同士の連携)
  • 3エネルギー・資源の宝庫(シベリアカムチャッカなどは石油・天然ガス。モンゴルのウランは日本の100年分。北朝鮮の資源埋蔵量は500兆円。日本が戦前に開発した)
  • 4日本とユーラシアをつなぐ国際物流拠点(トマンコウへの鉄道。日本にとってはユーラシアへの玄関口。これができれば物流革命へ)
  • 5北東アジアの安全保障が世界平和に影響
  • 北朝鮮経済の最新動向
  • 1中朝首脳会談(5回目・5月5日)。中国は1兆円の大規模経済支援(当面2000億円)を決定しインフラ整備にあて中国東部経済の活性化へ。北朝鮮経済の大転換、中韓のバランス政策から中国一本への傾斜。北朝鮮中国東北部の第4省?韓国は第5省になるか?
  • 2モンゴル北朝鮮首謀会談(4月)。ラシンコウに投資(モンゴルはロシア支配からの自立を目指し天然資源の確保)。石油精製工場に投資(中東からの石油輸入し精製)朝青龍はサーカス経営者。
  • 2009年末の北朝鮮のデノミ(100分の1)。ヤミ市場で増加した金持ちを無くすことが目的だったが、庶民には大きな犠牲が発生。怒りと反発で政府は3000人規模の集会を開いた。デノミの評価は、失敗説、民主化の芽が出た、貨幣価値の安定化による外資誘致という3つの説がある。
  • 韓国企業は、昨年はV字回復。以下韓国企業の強み。4大財閥でGDPの4割。貿易依存度は83%。北朝鮮2700万、韓国4500万、海外800万で合計8000万人。
  • 1経営スタイル。マーケット志向(日本はもの作り)、技術は買ってマネジメント(日本はイノベーション)、海外戦略は現地化(日本は国内)、海外投資(日本は国内)
  • 2官民一体。インド、アメリカ、EU,中国とFTA。トップセールスでUAEの原発4兆円を勝利。
  • 3オーナー経営者。8-9割がオーナーなので大型改革が可能。
  • 4新興国市場の先読み。中国、ロシアに集中投資
  • 5
  • 6徹底した現地化。車の高さ8ターバン)、クラクションの音、変圧器、、。
  • 7デザイン経済
  • 8広告とアフターサービス。クレムリンからみえるところにサムソンの広告。ヒュンダイは失業すると自動車を返却できるようにして大ウケ。そのアイデアマンはGMへ。
  • 9海外コリアンネットワーク。中央アジアには32万人の高麗人。
  • 韓国経済の弱み
  • 1世襲経営による不透明なガバナンス
  • 2労使紛争が多い。
  • 3対日依存
  • 4先進企業。サムソンは巨大化、利益は8700億円。日本のトップ9社の合計以上。
  • 北東アジアには科大は多いが、これはビジネスチャンスだ。日本人材のアジア化、アジア人材の日本化がテーマ。
  • 日経ビジネスオンラインで連載する)