「現代の志塾」考

多摩大学は開学以来「実学」を標榜してきたが、研究機関であるよりも教育機関であることを重視した経営、時代の最先端を走る産業界で活躍した人材の教壇への多数の登用などその最大の特色は一貫して実践してきた「実学教育」にある。

開学20周年を迎えるにあたって、この実学教育をさらに深化させるために新しい時代の実学を「今を生きる時代についての認識を深め、課題解決能力を高めること」と再定義し、大学の教育理念を改めて「現代の志塾」と定め、教育・研究・社会貢献の全分野においての共通の考え方とした。 

個人の責任でないことが理由で差別を受けるとういような社会の不条理をただすことに、自らの能力と技術を最大限に発揮した職業(仕事)を通じて何らかの貢献をすること、それを「志」と定義している。

そういった志ある人材を少人数教育で豊かなコミュニケーションを通じて育てる意志を「塾」という言葉に込めている。

志の失われた時代に、幕末の松下村塾吉田松陰)、適々斎塾(緒方洪庵)、咸宜園(広瀬淡窓)など志の高い有為の人材を輩出した私塾の現代版を目指す。

この「現代の志塾」という教育理念に沿って学内組織はそれぞれの教育目標を定めた。経営情報学部は「産業社会の問題解決の最前線に立つ人材を育てる」、グローバルスタディ学部は「グローバルな問題を解決でき、グローバルな舞台で活躍出来る人材を育てる」、そして大学院経営情報学研究科は「一業を起こし、一業をマネジメントできる人材を育てる」としており、全学のベクトルが揃って来つつある。

この教育理念は、教員個々人の主宰するゼミの人材教育の志、教育プログラムを支える職員の志の明確化、そして学生への日常的な志の問いかけと涵養という大きな流れになりつつある。

高校生に対する「志小論文コンテスト」の実施、志ある人材を選抜する志入試、志を育む教育プログラムの再構築(カリキュラム再編、学長主宰のリレー講座・インターゼミなど)、そして問題解決力の高い卒業生を多摩(多摩学を通じた多摩グローカリティ研究)を中心とする「志企業」に就職させ、大中華圏を中核とするアジア・ユーラシアダイナミズムの勃興という新しい時代に参画してもらうという戦略と全学的な方向感が見えてきている。

こういった流れをさらに押し進める中から、個性と特色にあふれた「多摩大学らしい学風」を形成していきたい。

http://www.tama.ac.jp/
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本日は、九段下のホテル・グランドパレスで、昼食を食べながらギリークラブの渡辺さんとメディア関係の相談。その後、大手出版社の企画担当と大学とのタイアップの新規プロジェクトの相談。