メディカルツーリズム。医療チームマネジメント。環太平洋FTA。


九段サテライトでのメディア向けの「現代の志塾」講座の3回目は、多摩大医療リスクマネジメント研究所の真野俊樹先生。テーマは「グローバ化する医療−メディカルツーリズムとは何か」。メディアを中心に20名ほどの人が集まり、真野先生の講義を聴いた。内容は大変に興味深く、終了後の質問もなかなか終わらない。このテーマには関心が高い。

  • 日本は2000年の資料では医療に関しては世界1位となっている。国民皆保険制度などがあるからアクセスがいい。
  • GDP比の医療費は下位で安い。効率が良い。
  • 欧州は国が主体でアクセスが悪い、米国はコストが高い、アジアは質が悪い。このため東南アジア、特にタイとシンガポールへのメディカルツアーが多い。
  • 病院の民営化などによる投資対象、ビイネス界の期待、政府の後押し、医療専門職のFTAなどによる自由化などで、医療機関のレベルが向上し、地域の医療水準が向上していく、というシナリオ。
  • 2012年1000億円、2020年には、43万人、5500億円市場。
  • 中国が最大のターゲット。ロシアは極東ロシア中心。
  • タイは先進国。観光+美容・性転換など。JCI(アメリカンスタンダード)とMB(経営改善の視点)シンガポールは治療中心。韓国は日本最大のライバルでダビンチ(医療ロボット)は多い。
  • 日本。制度は一流。提供体制は?最先端技術(ロボットなど)は遅れているかも。質の見える化は遅れている。ニューズウイークでも日本はヘルス部門では1位。
  • 日本国内の動向。経産省は産業振興で観光をからめたい。厚生労働省は医療技術の振興・交流目的。
  • チーム医療。ローテーション、多能化、プロフェッショナルサービス、経営学的発想、、。
  • メディカルツーリズムは世界のトレンドになっている。ある程度乗っかるべきだ。病院同士の協調とネットワーク。
  • メディカルツーリズムというと医療に引っ張られるので、ヘルスツーリズムといった方が良いかもしれない。

九段下のグランドパレスホテルで、P出版社に最終原稿を手交。年末か年初にここ2年ほどかかった原稿が本になる。今までの方向とは違い私にとっては画期的な本であり、楽しみだ。

D社経由で依頼のあった18万人の医療関係者の会員向けサイトでの動画出演の打ち合わせ。チームマネジメントにドラッカー理論を生かす、というテーマ。チーム、リーダーシップ、仕事という3つの視点から企画を提案しておいた。来週に撮影となる。ドラッカー関係の仕事が増えてきている。

早稲田大学大隈講堂で、寺島文庫塾リレー講座「世界を知る力−−いま、本当に考え抜くべきこと」の第一回講義。寺島さん以外には元国連事務次長の明石康さん(現在は六本木の国際文化会館理事長)、東大教授の藤原帰一さん。その前に、以前訪れた大隈重信銅像坪内逍遙記念演劇博物館、会津八一記念博物館などを確認。

  • (明石)国連は90年代半ばからはソマリアルワンダ、ユーゴなどPKOで苦悩。2000年に入って国家犯罪、核拡散など超国家的脅威に対処してきた。国際機構で対処していくが、ナショナリズムも拡大してきた。
  • (藤原)冷戦後の世界は、統合と多元化の流れ。
  • (藤原)グローバリゼーションとナショナリズム。責任ある世界大国。日本の政策へのいらだち。外交は対米従属か対立か。自立か協調か。内政は小さな政府か大きな政府か。経済政策は国民経済のみでは意味はない。
  • (明石)大型のミドルパワーとして前向きに一歩一歩進むべきだ。最大の資源は人材。大学は一線を走ってはいない。
  • (寺島)リベラル現実主義が3人の共通点。リベラルとは相対的という意味。メディアは二者択一の単純化。
  • 9/11から9年。米国無き中東。覇権無き中東。無極化。二分論からの脱却が必要。多極間のグローバルガバナンスの構築が必要。新しい政策のパラダイムが必要だ。アメリカとの実質的なFTになる環太平洋FTA(TTP)の動きが始まる。ここに日中韓のFTAも組み入れていくゲーム。政策科学が問われている。