若者の「志」を育てよう--産経新聞11月30日朝刊

産経新聞11月30日(明日)朝刊「アピール」欄に「多摩大学学長室長・教授」の肩書きで、多摩大学の「私の志」小論文コンテストのことを書きました。 アイフォンの産経の無料アプリで確認しました。便利です。      
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多摩大学が高校生に向けて「わたしの志」をテーマとした小論文コンテストを行ったところ、初年度の昨年は353件、今年は北海道から沖縄まで84校から1157件の応募があった。400字詰原稿用紙6枚という、ややハードな要件だが多数の応募があったことに関係者一同驚いている。「志」という最も美しい日本語がまだ死語ではなく、全国の若者が強く反応したことに喜びを感じている。
多摩大学は「現代の志塾」を教育理念に設定し、志入試、志教育、志企業への就職という流れを整備しつつあり、このコンテストはその一環として若い事務職員が発案・企画したものだ。「志」とは社会の不条理にかかわる問題を解決することに自らの職業や仕事で参加することと定義づけている。
11月14日の表彰式で最優秀賞を獲得した高2男子の「昆虫と僕」は昆虫研究者になり異なった視点から医療分野への応用を考えていくというユニークなものだった。優秀賞の高3女子の「苦しみにひと区切りを」は裁判官になり被害者の苦しみに区切りをつけたいという暖かい論考だった。同じく優秀賞高3女子の「私の進むべき道」は中等教育の現場での海外留学プログラム作りによる世界平和への貢献だった。
自らの能力と関心を踏まえて、社会との関わりを念頭に置きつつ職業や具体的な仕事について語っているものが多く、未来に希望がともった印象を抱いた。
「志」を実現するためには、まず若者には持続的に自己を磨くことが求められる。教育現場では、そこへ至る道筋を明らかにしそのための知識や技術を、身につけるプログラムを用意しなければならない。社会の側も温かい目で彼らの前途を見守り応援することが必要だろう。
この国の若者にはまだ希望がある。そのともしびを育てていくことが、志の高い国づくりにつながっていくのではないだろうか。
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参考