東日本大震災20日目。産経新聞。山折哲雄。「天災論と人災論」

東日本大震災20日目。(発生日から数えるということにしました)
ここ3か月、今まで読んでいた日経、朝日、に加えて産経も読むことにしている。今まで産経は駅のキオスクで時々買ったり、またアイフォンで無料版を詠んだりする程度だったが、じっくりと向き合ってみたところ、なかなか骨太なところがある。特に書き手の識者の人選は国士型の人物が真っ向から主張を展開するという趣があり、歯ごたえがある。
東日本大震災発生後は、この新聞の売り物である「正論」では、各界の識者たちがこの国難にどう立ち向かうべきかという観点から、それぞれの想いと処方箋を開示しており読みごたえがある。
佐々淳行「震災危機を「管理危機」にするな」。屋山太郎「新予算で「廃墟」から立ち上がれ」森本敏「震災機に緊急事態基本法整備を」。竹中平蔵「ばらまき棚上げし10兆円計上を」。西原正「「フクシマ」で的確な対外発信を」。大原康男「一旦緩急アレは義勇軍ニ奉公シ」。笹川陽平「「明」も総力を挙げて協力しよう」。ジェームス・E・アワー「不屈の精神で三度目の日本の奇跡を」。坂村健「より強い日本をつくるために」。西尾幹二「最悪の中の最悪を考えなかった」、、。

ほとんどは現下の危機を乗り切る処方箋や、復興に向けての構想を述べているが、宗教学者山折哲雄さんが「大災害に向き合う日本人の心象」という文章を寄せている。元暦2年(1185年)の都の大地震の経験を鴨長明は「方丈記」を書き、正嘉元年(1257年)の鎌倉大地震を背景に日蓮は「立正安国論」を書いた。一人の詫び住まいの鴨長明は「天災」論であり災害は必然であった。辻説法でときの政府を批判した日蓮は「人災」論であり災害は試練であった。いずれも生き方と表裏一体となった議論であった。
日本人の持つ無常観を背景に山折先生は深いところで日本人の歩む方向を示唆するという役割の人で、このたびの震災については「人災」論より「天災」論に近い。石原都知事の天罰論はこの人災論の流れだ。この人のオーディブックの講演を聴くと、日本の調べである単調を受容する感覚が失われているのではないかという危惧を示していた。また和歌の5・7・5のリズムが日本そのものであるということも言っている。最近手にした「わたしが死について語るなら」という小著では「死生観」をキーワードに悩める人々に語りかけている。
他の新聞でも山折先生の文章をいつか読んだ記憶がある。こういう深い日本人論に基づいた柔らかい主張は読者に底流で大きな影響を与えるだろう。

                                • -

会議を一つ終えた後、「先見経済」という中小企業経営者の会員誌のインタビューを受ける。テーマは「会議」。私の著書「タテの会議・ヨコの会議」(ダイヤモンド社)に沿って考えを述べていく。4ページというからかなりの分量である。話しているうちに他の企画のアイデアもでて楽しく2時間を過ごした。http://www.seiwakai.com/senken.html