「放射能 首都圏消滅」(三五館)はリアル

来たるべき東海地震(M8クラス)で危ないとされる静岡県の浜岡原発への警鐘を鳴らすために2006年に出版した「放射能 首都圏消滅」という本が、4月11日付で緊急重版されている。

放射能で首都圏消滅―誰も知らない震災対策

放射能で首都圏消滅―誰も知らない震災対策

今、福島原発でで起こっているさまざまの問題は、ほとんどこの書物であらかじめ想定されていることに驚いた。
この本の警告では、ユーラシアプレートの下にフィリピン海プレートがもぐりこむ境界に浜岡原発があり、すでに前兆の出てきた東海地震の発生によって、耐震性の弱い浜岡原発は事故発生の可能性が高い。そして事故が起これば6-8時間後に首都圏全域が放射能に覆われて壊滅する。荒川以北に逃げるか、さもなくば一週間にわたって建物にこもるしか対策はない。放射能を浴びた場合は、甲状腺ガンなどのガンになるという運命が襲う。
今までの政府の公式見解では、多重の防御は施されており原発震災は起こらないことになっており、対策は必要ないということになっている。また、単一の事故による故障のみに対応することになっており、地震によって同時発生する多重事故も想定していない。また、原発は米国の技術だが、そもそも地震が少ない米国の原発地震を想定していない。
今回の福島原発事故は、まさに多重事故であり、この本の指摘している通りそういう事態を想定していないという欠陥を見事に突かれている。
浜岡原発の場合は、直下にプレート境界面があり大地震の巣であり、しかも岩盤は弱く、海からの近く(100メートル)高度も低い。津波の想定は6メートルに過ぎない。またコンクリート骨材は欠陥があり、すでにヒビが入っている状態だという。老朽化した配管の減肉も観察されている。原発は配管システムが弱い。
東海地震の発生確率は今後30年で87%。118.8年が東海地震の平均間隔であるが、前回の1854年の安政東海地震からすでに156年以上が経過している。
冷却水喪失による空炊きによるメルトダウン(2800度Cを超えた場合)で、超高温の金属の塊が水蒸気と反応して水素が発生し周辺の水と接触すると、水が瞬時に沸騰し急激に膨張し、水蒸気爆発を起こす。原子炉格納器を破壊すると死の灰が噴出する。

日本の原発の中でダントツに耐震性に不安のあるのは浜岡で、次が愛媛県の伊方と宮城県の女川、その次が福島だ。東海地震が起これば、放射能は東に流れることが多く、福島のケースとは比べ物にならない大災害が首都を襲うことになる。
この本では、放射能から身を護るための、ゴーグル、DS3防塵マスク、スェーデン製掃除機、ポリエチレン製レインコート、ポリ手袋、ヨウ素剤、乾燥昆布、トロロ昆布、KEDライト、ポリ製ゴミ袋、ペット用のトイレの砂、など具体的なグッズも紹介している。