消防大学校で講義

調布市深大寺総務省消防庁所管の消防大学校がある。ここでは国及び都道府県の消防事務に従事する職員並びに市町村の消防職員、消防団員に対して、幹部として必要な教育訓練を実施している。
この消防大学校で「幹部科」の学生に対して講義を行うことになった。本日はその初回。

北海道から沖縄まで、そして被災地である岩手県宮城県福島県からも参加している。総勢58人。41歳から52歳まで、平均年齢は48歳。
階級は、消防指令、消防司令補、消防指令長。役職は、予防係長、通信係長、警防係長、主幹、副主幹、庶務係長、救急係長、危険物係長、署長補佐、総括司令、消防署次長など。

皆さん、キビキビしていて気持ちがいい。こういう人たちが国民の安全を守っているのだなと実感する。

事前に調べたところでは、国民1万人当たりの出火件数は、英国80件、フランス60件、ドイツ25件、アメリカ25件、韓国7件に対し、日本は5件と群を抜いて少ない。日本の消防行政はレベルが高い。

また消防という仕事には、消火にあたる警防、負傷者の救急、救出を担当する救助、そして予防という分野がある。たとえば救急は病院への搬送という厳しい仕事になるのだが、医療との関係で難しい判断を迫られるようだ。

日本の消防は、江戸時代の1629年の奉書火消に始まる。1643年の大名火消、1658年の常火消では大岡越前時代の「め」組が有名だ。その後、明治になって警察消防、戦後の警察からの独立による自治体消防、それに2次大戦に警防団から独立した消防団の二つが主役となる体制に落ち着く。

東京消防庁のホームページでは、今回の福島原発事故で出動したハイパーレスキュー隊の緊迫した様子がうかがえる。

午後1時から午後5時までの4時間を使った研修だが、消防という仕事に従事する人たちの気概、仕事の中身、考え方などがよくわかって興味深かった。組織の中核を構成する幹部たちだけに、人柄も態度もよくこちらも気持ち良く講義と研修が行えた。日本の消防行政に少しでも役に立てるなら嬉しいことだ。終了後、災害時の図上演習を行う部屋も見せてもらった。次回はここを使ってやることになった。

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平家物語」の冒頭部分に出てくる「沙羅双樹」は、夏つばきだということを知った。この花は朝咲いて夕方には散ってしまう。毎朝の散歩時によく見かける美しい花だが、花弁は和紙のような肌合いだ。

祗園精舎の鐘の声、
諸行無常の響きあり。
娑羅双樹の花の色、
盛者必衰の理をあらは(わ)す。
おごれる人も久しからず、
唯春の夜の夢のごとし。
たけき者も遂にはほろびぬ、
偏に風の前の塵に同じ。