難病ATLから復帰した浅野史郎さんの「見立て」


今日の最後は、永山で4年生との飲み会。
実質的に多摩大の最初の久恒ゼミの学生たちだ。最悪の環境の中、就職活動にひと段落ついた時点で久しぶりの愉しい会となった。
自動車、病院、国税、消防、保険、郵政、IT、俳優、大学院、、、など進路は多彩だ。活動中の学生には激励。

ゼミ。TPPがテーマの図解実習。その後、グループに分かれて活動。

リレー講座は、元宮城県知事の浅野史郎慶応義塾大学教授。2年半前にかかった難病のATL(成人T細胞白血病)、そして厳しい骨髄移植をして復帰した姿で、講座の始まる前にお会いした。「生還しました」との第一声。宮城大時代にはよくお会いしていた。今日は奥様も一緒だった。

講義のテーマは、「大震災復興・原発問題における政治学・心理学」。
母乳感染、保菌者の1000人に一人が発症、20年前に骨髄財団、61歳で発症、というようにATLの説明がまずあった。

  • 道を究める人には共通したことがある。それは第一に、どうしようもない苦難と挫折の経験である。そして、それでもその人には、『根拠のない成功への確信』がある。(シスター鈴木)
  • あなたに何の罪もなくたって、生きていれば、多くのことが降りかかってくるわ。だけど、それらの出来事を、どういう形で、人生の一部に加えるかは、あなたが自分で決めること、、、。(「サマータイム・ブルース」(サラ・パレツキー著)

「行き当たりばったりの人生」。それは「出会い」の人生ということで、ライフワークとなった厚生省課長時代の障害者福祉問題、宮城県知事選にでるハプニング、今回の発病による新たなミッションの登場。「足下に泉あり」だ。

大震災からの復興に浅野さんの「見立て」は、以下の通り。
日本の原発54基のうち13か月に一回の定期検査で、44基が止まっており、現在稼働中の原発は10基に過ぎない。このまま再稼働ができなければ2012年5月には全部止まってしまう。政治的に再稼働に踏み切れる自治体はほぼゼロではないか。
経済学的には、将来についての考え方は議論があるだろうが、政治学的・心理学的に考えてみると、原発がゼロを前提にした対策が必要だ。それを踏まえた経済活動、企業活動を考えねばならない。これは目の前の問題だ。

自治体首長経験者のこの短期の「見立て」は、その通りだろう。中長期の課題解決の議論も重要だが、さてこの一年をどうするか。