「自分の目で見て自分の頭で考えて」--劇団四季「はだかの王様」

劇団四季ミュージカル「はだかの王様」をパルテノン多摩で鑑賞。
大ホールは子供連れの親子でほぼ満杯の盛況である。この出し物は全国公演が行われていて、2011年5月3日から2012年3月18日まで各地で開催されている。
府中、福生、機密、市ヶ尾精華町、広島、名予や、湧別、恵庭、花巻、富岡、幸田、茅ケ崎、射水、成田、富士川、栗原、光、多摩、横須賀、千葉と年内は回る。
日本各地で学校単位で子どもたちを無料招待し、2011年度は56万人の子供たちが鑑賞できる。全国規模では日生、三菱東京UFJ銀、みずほ銀、ダイキン大和ハウス三菱商事、ベネッセ、キッコーマンファンケルトヨタが特別協賛をしている。
また地域ブロックでは、鉄道、新聞、電力、航空会社、地銀などの協賛があるという大きなプロジェクトである。

演出・構成は浅利慶太、台本は寺山修司、作詞は岩谷時子、作曲は三木たかしいずみたく、という豪華版だ。寺山修司という言葉の天才の台本だけに、風刺とさびが効いている。

「この衣裳は、役に立たないものやとびぬけてバカな者には見えない」と詐欺師に言われて、王様と大臣、側近がすべて騙されていくのだが、子供が「王様は裸だ」と言って展開が変わるという物語だ。

  • 舞台の幕を開ける歌を子供たち観客と一緒に歌う、観客が手拍子で協力するというしかけ
  • 見えない衣裳が見えるというメガネの売りつけーーメディアを想像させる
  • 独裁者へのへつらい。-戦争で負けるよりより文化が大事という感覚

舞台上での「王様は裸だ」という子供の声と、観客側の子供や大人が一緒になって、王様の裸を指摘するという構図は、民衆革命を彷彿とさせる。

(パンフレットより)

このバカバカしいどたばた劇は「大人のように損得で考えや立場をを変えないで、自分の目で見て、自分の頭で考えてください」という子供に向けてのメッセージを伝えようとしていると受け取った。