相変わらず、「日下(公人)節」が冴えている

日下公人の最新作を二冊読んだ。相変わらず、「日下節」が冴えている。
日下先生は多摩大教授の先輩で、所属している市民満足学会の会長でもある。また、日本航空時代には、航空識者対策をしていた私は識者向けの雑誌のインタビューにも応じていただいたこともある。いつもニコニコしながら驚くべきことを言うが、「そうだなあ」と共感するのが常だ。
今回の二つの本もそういう独特の世界観がやさしい言葉で書かれている。

日下公人が読む 日本と世界はこうなる

日下公人が読む 日本と世界はこうなる

  • あまり、国家を信用するな。専門家はあてにならない。自衛隊は素晴らしい。地元の消防団はもっと素晴らしい。大企業は逃げる。政治も行政も上は逃げる。下はしっかりしている。自分の生命や財産はやっぱり自分で守るものだ。マスコミよりネットやブログのほうに真実がある。
  • 昔からユダヤ人が集まってきた町や国家は。、、次は日本かも知れない。日本に対する金融グローバル化の諸要求にはそのための地ならしがかんじられる。
  • (アメリカ)は、私はもはや立ち直ることはできないと想像している。その理由は、「道徳(モラル)がない国」だからである。
  • 日本は道徳が健在だから、経済は自然によくなるはずである。
  • 中国はどうかといえば、分裂・分解の道に入り、全体としては長期停滞になる。、、一部の勢力は日本に友好関係を求めて平和攻勢にでてくる。つまり、中国は日本に屈伏することになる。
  • もはやEUの必要がなくなる。ヨーロッパはヨーロッパ的西湖運幸せをエンジョイしつつ、少子高齢化の道をたどる。
  • アニメ、ゲームなどを通して日本文化が広まっており、その底辺にある日本人の心や道徳が浸透しつつある、、、マンガ、アニメ、げーむ、映画、それから外国に行く旅行客で、それは庶民や子供のレベルから世界を変革しつつある、
  • 若い時は肉食系で老後は草食系になって両方を体験する生き方と考えると、それは江戸時代からたくさんの人がやってきた生き方である。
  • 財政出動の効果がないのは)、バラまきの相手が中流層ではなく下流層だからである。
  • 国が持っている国内資産と海外資産をすべて売れば、、、本気で国が持っている資産を売れば、国家財政が間もなく破綻するなどと心配することはない。
  • 日本の個人資産総額(1400-1500兆円)、、、預貯金総額は800兆円を、財政赤字を埋めるために「半分にします」と徳政令を出しても、怒る人は多くはないのではないか。、、多くの庶民は平均額より少ない、、打撃を受けるのは支出予定がある人である。、、当面は赤字国債を発行し続けても、日本は心配ない。
  • 年金、健康保険の強制加入は民主主義に反しているし、国家には運営能力が欠如しているから廃止して民間に任せたほうがいい。すなわち、小さな政府にすればいい。

「超先進国」日本が世界を導く

「超先進国」日本が世界を導く

  • ポケモンの哲学とは何か。物語の結末を見ると、みなで話し合って、敵同士もわかりあって、許し合って、涙を流す、、というようなものが多い。「ワンピース」も同じである。
  • 「中流」の生活態度。1.合理的で、決して僥倖を当てにしない。2.計画的に物事を進める。自己管理能力の有無は、中流の要件である。3.前向きで経済的な生活を好む。4.実践的な行動力に富む。
  • 上に立つ者の責任とは何か。それは全幅の信頼がおける部下を見つけだし、次にそのポストに置いたら任せて、いちち口出ししないことである。
  • 通説に反するものは報じないのがマスコミである。
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「考えるための書評集」というサイトで2002年に出した私の代表作「図で考える人は仕事ができる」の書評を書いてくれた。
単行本を文庫化したものを読んでくれたのだが、ずいぶんと深く読んでくれているので嬉しくなった。
冒頭、図解の技術を学びたいのに、図解の素晴らしさのオンパレードで肩透かしだとあるが、この本は「図解の良さを文章できちんと書いてくれ。図を使うな」という名編集者の要請に従って書いたものだ。おかでげ、図解について深く考えることができた記念碑的な作品となった。そしてそれがベストセラーになった。図解を使わない図解本が一番売れたのだから、世の中は面白い。
この点の言い訳を少ししたいが、この書評者は、後は「思考」という観点から深い考察をしてもらっているので著者として嬉しい限りだ。
書評者である「うえしん」さんはは図解本をいくつか挙げて、多すぎてどの本を読んだらいいかわからないと書いているが、それらは比較的新しい本であるはずだ。私は1990年の「図解の技術」以来、相当な量の本を書いてきた。その影響とみたい。

「夜空の星はてんでばらばらで意味を見いだせない。しかし星座を教えられるとかたちや配置を覚えられる。星座を知る前に星空は存在しなかったのである。われわれは見ていても「見ていない」という状態があまりにも多いのだろう。つながりや関係を見つけられた人だけがその意味を知らせられる。」
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