国際言語としての図解コミュニケーションを実験

緒方貞子さんが率いるJICA(国際協力機構)で、専門家の海外派遣前研修を引き受けてから、丸2年経ちました。全世界の発展途上国に2年ほど派遣される様々な分野の専門家が対象の『「図解思考」を用いた国際コミュニケーション力の向上』と言いうテーマの研修です。
各省庁、NGO、独立行政法人、大学、警察、コンサル企業、弁護士、などの専門家が、水資源、農業、空港、保健、発掘、経済、インフラ整備、和解、などの様々の分野で国造りに貢献している姿を垣間見るのは圧巻です。
 先の3・11で世界中からの支援があり証明されたように日本への途上国の感謝の念は揺るぎないものがあります。その最大のポイントはこのJICAの活動でしょう。

以下、研修の最後にもらうアンケートと、現地赴任後の様子などを整理してみました。ここからは国際言語、世界言語の可能性が見えてきます。

・外国ではどうしてもコトバの問題に直面します。図を使うことでコミュニケーションがスムーズになる。
・実例の間にさまざまな実用的教訓が織り込まれているのが面白かった。
頭の働きがよくなったと思う。活動の優先順位づけをカウンターパートと行う時に役立つ。
・今回の研修のまとめと、自分の組織のバックアップしてくれる人たちに私のミッションを伝えるために使える資料ができた。
・私の行く国は文章での表現、暗記教育なので、私が図を描くことでカウンタ・
赴任国での専門家業務を行うにあたって、非常に役立つと感じた。
・ディスカションが非常に効果的。赴任国でも利用したい。
自分のすべきことが明確になり、頭の中がすっきりしました。実務に直結する有益なセッションでした。
・示=世界語、図解思考に基づく国際コミュニケーション、共通認識とフレキシブルな対応、スムーズな共同作業の推進、と理解しました。任地でも役に立ちます。
・実際に作業してみるとあいまいな部分がよく見えてきた。ただ現地で村人たちが図解を理解できるか未知である。
・職場だけでなく全ての場面で応用できそうです。専門は医療安全ですが、図解によるアプローチの可能性を確信しました。
・論理としてりかいできた。ただしセネガル等、図を読む文化の無いような村人もいるためその場合はどうするのか。
・自分のやるべきことを真面目に考えるよい機会となった。任地ではカウンターパートにもぜひ書いてもらい関係についての相互理解を深めたい。
・対象となる農民へは、文字も読めない方々も多く、イメージする方が伝わりやすいかと思います。また頭にも残ります。
・外国では絶対に有効だと思う。
・かくも素晴らしい社会変革を巻き起こす勢いのある方にお会いでき光栄です。図解思考を業務に活かし、世界をより良くしていきたいと思います。

〇派遣先での活用。
・先方政府のモニタリング評価システムに関して、こちらの理解を共有し、先方の確認を得るために図解して提示した。(ガーナ)
・研修や器材調達の流れをカウンターパートに説明する際に図形とフローチャートを用いた。(インドネシア
・視察にきた日本人に対してプロジェクトを説明する際に利用していた。(バングラデシュ)
・プロジェクトの方向性と目標を一枚の図に集約し、カウンターパートへの説明の際には必ず用いた。訴訟手続きをフローチャートにすることを検討中。(ラオス
・何度か改定作業を行ううちに非常に洗練されたものになってきた。(ラオス
担当プロジェクトの目指す方向性と主要な活動を盛り込んだ図を使い、複数の支援対象機関にプロジェクトの説明を行った。図一枚で話をするほうが、はるかにイメージの共有がしやすく早かった。(ラオス
・双方が現地の司法制度を正確かつ迅速に理解するのに非常に役立っている。(ラオス
・研修の構成を考える際に、教育と労働市場の関係を図解を用いて整理したが、・自分自身の考えをまとめるために、「図解思考」を使った。(ヨルダン
・プロジェクトの全体像を説明するときに用いた。(インドネシア
・データベースにあるデータと、実際のデータを照合する際の関連性について、図解で説明したところ相手の理解が得られたように思う。(フィリピン)

国際言語、世界言語としての図解の可能性を感じますね。
来年度も出講する予定です。

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本日は、AO入試の面接官。樋口先生とペア。来年度の入試関係の打ち合わせも行えたので良かった。