「知る、好む、楽しむ、道楽、極道」-安岡正篤「人生と陽明学」から

安岡正篤「人生と陽明学」(PHP文庫)

人生と陽明学 (PHP文庫)

人生と陽明学 (PHP文庫)

この書を読んでいて一つの疑問が解消した。偉人の没後何年とか、生誕何年と二つの数え方がある、どちらを採るべきなのだろう。
東洋では没後といい、西洋では生誕というらしい。その人の偉さは晩年に際立ってくることが多いから、その影響が残るという意味では、私は没後を採りたい。

道家は、上寿を100歳、中寿を80歳、下寿を60歳と言っている。佐伝によると、上寿は120歳、中寿は100歳、下寿は80歳となっている。
昔は道家の言う説が腑に落ちるが、寿命が長くなってきたため、今では佐伝のいう、「80歳、100歳、120歳」が現実味を帯びている。

学ぶという行為には「知る、好む、楽しむ、道楽、極道」というコースがある。極道は普通は悪い意味に使うが、道を極めるという意味がある。

佐藤一斎の「憤の一字は、是れ進学の機関なり」という言葉もいい。

王陽明。「[1472〜1528]中国、明代の思想家。宸濠(しんごう)の乱を平定した功により、新建伯に封ぜられた。陸九淵の学をうけ継ぎ、知行合一説・致良知説を主張して一派を成し、王学・陽明学と呼ばれる。」
陽明学の祖である王陽明は、実務の間、反乱鎮定の間に帷幕のなかで学問と教育を行った。到る所が学問と講学の場であった。生きた正学だ。これが活学である。
明代に生まれた陽明学は江戸時代初頭に伝来し、中江藤樹に始まる陽明学者に学び継がれた。熊沢蛮山、大塩中斎、佐藤一斎、、。そして安岡生篤によってよみがえった人間学である。

  • 数々の問題を経験するにあたって、如何に喜び、如何に怒り、如何に哀しみ、如何に楽しむか、という4つの心の持ち方から学ぶべきである。
  • 山中の賊を破るは易し。心中の賊を破るは難し。
  • 誰もが持っている良知を発揮することが致良知であり、をれを実践するのが知行合一である。
  • 知者は惑わず 仁者は憂えず
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写真:桜と、人と犬と白鷺と。