人間学を学ぶ月刊誌「致知」の8月号に高名な野中郁次郎先生が、牛尾治朗と対談している。
日本企業の躍進の本質は知識創造にあるという野中郁次郎の現在の考え方(原発事故調査に参加)がよくわかるので、大事な部分をピックアップしてみた。野中先生にはJAL時代、一橋大にインタビューに伺ったことがある。飾らないフランクな人柄だった。
- 暗黙知は、、、日本では西田哲学以来、身体知と表現され重視されてきました。
- 私たちは、対話などを通じて暗黙知を表に引き出し、それをスパイラルに発展させて組織的な知に増幅していくこと、すなわち暗黙知を形式知に変えていくことで組織全体をクリエイティブにし、社会全体を豊かにしようとお提唱しています。
- 知識をどう創り出すのかという知識創造理論の体系化に取り組んでいます。
- 言葉にならない暗黙知を客観的な形式知に変換する時には、様々な個別具体の経験を綜合して、その背後にある本質を洞察しなければなりません。そこでリーダーには教養が必要になります。教養というんは物事の関係性を人間を基盤にして洞察する知ですから、パッパッと関係性が見えるんですね。個別具体の経験から本質をえぐり出す言葉、概念にする能力が非常に問われるわけです。そういう意味で、新しい視点を持った言葉というのは暗黙知を触発するんです。
- 関係性を紡ぐという能力
- 部分から全体像を導き出すだけでなく、全体から部分を観ることも必要で、そういう綜合力はなおさらトップ一人の力だけでは賄いきれません。上下に働きかけるミドルの力を総動員する必要があるのです。
- 新しい状況を乗り越えるためにも、知の綜合力を絶えず練磨していくようなリーダーシップというものが求められていて、、、アリストテレスの「フロネシネ」に求めたわけです。、、賢慮ないし実践知と訳すんですが、要するに暗黙知と形式知のスパイラルに基づいて現場で適切な判断を下すことができる実践知のことです。
- フロネティック・リーダーシップを発揮するためには、六つの能力が重要。
1.「善い」目的を創る能力 2.場づくりが上手いこと 3.ありのままの現実を直視する能力
4. 直観の本質をきちんと概念化する能力 5.概念を実現する政治力 6.1から5を組織で共有する能力
- 他者と文脈を読み合いながら知を動員するという対話能力
- ありのままの現実の背後にある本質を洞察しながら知を結集して、新しい概念なりパラダイムをつくっていく能力
- イマジネーションとかジャッジメント能力というのは企業人のほうが遥かに優れているのではないかと思うんです。
- 優れた人材が分野を乞えて集まる場をどんどんつくっていくことが重要だと思います。
- 信念という暗黙知をもっていないと、その人の発する言葉に言霊は宿らない、、
- 日本をリードしていくのはやっぱり企業人だと私は思うんです。、、、やはりこれからは民間がもう少し政治に関心を持ってコミットしていくべきだと思いますね。
- (綜合プロデューサー的な能力)は、修羅場を経験することで磨かれるのだと私は思います。
- 天命を受け入れつつ、それを超える人間の自由度、何パーセントかは分からないけれども、そういう創造的、弁証法的な考え方がやはり必要です。その際に、、オプティミズムを持っていないと、、
- オプティミムズを根底に、実践のただ中で何がgoodかという試行錯誤を無限に続ける。真理はあると信じて行動することで未来は開けてくると思います。
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