松涛美術館、神保町の古本街、温泉、読書

昨日、本の原稿を脱稿した。また、家族が全員留守ということになった。
したがって、朝と晩の犬の面倒だけをすれば完全に自由という時間を得たということになった。
さて、解放されたら何をするか。

まず、渋谷に向かう。
道玄坂を東急百貨店を超えて登っていくと、面白そうなショップやよさそうなレストランが並んでいる。
その先に、前々から訪れてみたかった渋谷区立松涛(しょうとう)美術館がある。
そしてこれまた前々から関心を持っていた藤田嗣治の企画展をやってる。テーマは「藤田嗣治と愛書都市パリ」だった。

この一帯は鍋島家が屋敷として持っていたが、関東大震災の後、松涛園と名付けて郊外住宅地となった。鍋島公園もある。
この松涛美術館は小さいがユニークな企画展をやるので知られている。真中に湖を配置した濃いデザインは、1905年生まれの白井晟一(せいいち)である。粗く割った砂岩が壁一面に使われている。凹凸があり、陰影がある。そして壁がサークルを描いている。またこの空間の真中は下は水だが、上はぽっかりと空いて青い空が見える。その下から上への空間には小さな橋が架かっている。


挿絵を中心とした展覧会。
「日本昔噺」、外交官のクローデルの「東方所観」、海軍士官のピエール・ロティの本、「HAIKAI]、ジャン・コクトー四十雀」、、、、、。
様々な人たちの書籍の表紙や中の挿絵を描いたのが藤田嗣治だった。こういったブックワークの仕事を集めている。「本の仕事」に深い愛情を持っていた。

この美術館で大宅壮一ノンフィクション賞受賞作の「藤田嗣治--「異邦人の生涯」」(近藤史人)を買って読み始めたのだが、奇矯な派手好きのフランスかぶれの画家というイメージは払しょくされた。日本における藤田の虚像と実像のこの懸隔の大きさに驚いている。詳しくは後に書きたい。

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次に、神保町。
神保町から水道橋まで続く古書街をじっくりと歩く。
愛書家と思しき人たちが古本屋を覗いている。
新刊書を並べる書店は「今」を知ることができる。古本屋では、あらゆる分野の過去の書物が目に飛び込んでくる。この二つの軸で本を集めること、読むことで奥行きを知ることができる。
三省堂の二階の雰囲気の良い喫茶店でおいしいコーヒーを飲みながら買った本を読む。

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夕刻に自宅付近に戻って、源泉かけ流しの湯がある「いこいの湯」で疲れを癒す。

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自宅に戻って、愛犬に餌をあげた後、ベッドで読みかけの本を読みながら就寝。いい日だった。