税関研修所(財務省館関税局)で講義--国際コミュニケーション

早朝、秋葉原から筑波エクスプレスに乗って柏の葉キャンパス駅へ。
この街は、東大のフューチャーセンターや千葉大の環境健康フィールド科学センターなどの研究施設、科学捜査関係の研究機関、税関の研究所などがある緑豊かな未来都市だ。

この一角に財務省関税局税関研修所がある。ここに出講を依頼された。
日本の税関は、輸入物品の消費税などを徴集し、5兆円の税収を上げている。これは国税収入全体50兆円の約一割に相当する。ということは、消費税が10%になると税関は10兆円の国税をあげることになる。

「関税レポート(世界最先端の税関を目指して)」を読むと、覚醒剤大麻、あへん、麻薬(ヘロイン、MDMA、、)、向精神薬、などの社会悪物品が最近急増していることがわかる。

「期待される税関職員」には、柔軟性、国際性、総合性があり、世界最高水準の行政サービス」を提供する高い志をもって職務に精励する職員が書かれている。

途上国の税関職員育成への協力としてODAを使って、関税技術協力研修を実施している。専門知識・技術の伝授、登場国税関との交流が目的だ。アセアン域内共通の制度整備などへの貢献、そしてこういった研修は我が国の国益にも貢献している。2011年度で48か国から266名を受け入れている。研修所ではそういった外国人も見かけた。
その研修の講師をつとめる職員に対して講義をして欲しいということになった。きっかけはJICA(国際協力機構)での「国際コミュニケーション力の向上」研修の評判を聞いてのことだそうだ。

受講者は東京、横浜、名古屋(中部空港)、大阪(関西空港)、神戸、門司(対馬)から11名の税関職員で、それぞれ、調査官、審査官、監視官という職名を持っている。リスク管理、品目分類、評価・事後調査が専門だ。女性が5名と多かった。受講資格は英検準一級。



「関税技術協力で、外国の方に何かを伝える際に有効」「日本の税関の事を途上国に教えることが多いのでぜひ図解を中心に実践してみたい」「管理者向けの研修なども行って欲しい」などの反応があった。
研修事務局からは「各研修生が口をそろえて非常に有意義であったと申しておりました。、、プレゼンのみならず、職場の改善など多岐にわたり応用ができると喜んでおりました。是非、他の研修でも講義をいただくべきだと申しておりました。」との御礼のメールが届いた。

新しい分野でもあり、私も大変勉強になった。

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柏市には麗澤大学がある。その創立者は同郷の中津出身の広池千九郎(1866-1938年)である。帰りにその記念館を訪ねてみた。この人物はモラロジー(道徳科学)の創立者。
緑豊かな素晴らしいキャンパスの一角に記念館がある。教育者、救済活動者、学者として大きな影響を人々に与えた人だ。

山岡荘八「燃える軌道」という小説にもなっている。
「道徳科学の論文」の執筆に参考にした3万5千冊の図書を見ることができた。和書1万7千冊、漢書1万3千冊、洋書2千5百冊という膨大なものだった。
25歳「中津歴史」を書く。26歳、歴史家を志し京都へ。29歳、「古事類苑」編纂のため東京へ。36歳、早大講師。41歳、神宮皇學館教授。46歳、法学博士。59歳、全国の温泉を巡り湯治と研究に専念。60歳、「道徳科学の論文」完成。65歳、モラロジーに基づく教育活動を展開。69歳、道徳科学専攻塾を設立。71歳、谷川講堂を開設。72歳、逝去。

20歳の誓い「人々の生活を豊かにし、国家にとって有益な人物になる」
モラロジー実学の精神に基づいた道徳科学教育」
「中津歴史」(1891年)。地域の住人にその土地の歴史を知らせることは、日本人としての自覚の第一歩だ。

郷土の偉人でもあり、書物を数冊買いこんできたので、読むことにしたい。中津にも記念館があるので帰省時に訪ねたい。

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夕刻、新宿の「どん底」で中津の同級生の千葉雄君と松田君と飲む。
このロシア風居酒屋は、黒沢明三島由紀夫が愛した店だ。

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自民党総裁選で安倍新総裁。石破さんを決選投票で破る。