高齢社会を生きるソフトウェア---「句会で遊ぼう」(小高賢)

連休最後の日。高尾山の紅葉を見ようと車で出かけるが、あまりの混雑で諦める。
八王子の銀杏通り。

まず大正天皇・皇后と昭和天皇・皇后の御陵の多摩御陵へ。

次に立川の昭和記念公園

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小高賢「句会で遊ぼう 世にも自由な俳句入門」(幻冬舎文庫)。

句会で遊ぼう (幻冬舎新書)

句会で遊ぼう (幻冬舎新書)

俳句でもやろうか、と気楽に始めた句会の様子が克明に、そして楽しく記されている素人句会の入門書。
筆者は講談社で取締役などを歴任した編集者で、この醸句会の宗匠役。
その人間観察の鋭い、ユーモアあふれる筆致で句会の始まりと進化がよくわかる。この小高という人にはビジネスマン時代に上司(柴生田さん)の紹介で会ったことがあるので、親しみも感じながら読んだ。
全体の章は、「はじめてしまった句会」「句会とはなにか」「どうはじめるか、続けるか」「「攻撃は蜜の味」「私たちだってうまくなる!」「醸句会の一大派閥」「女性はすごい」「残り物には福が」「血で血を洗う句会風景」「合同句集などを作ってしまった」となっている。
いいかげんに始めて、深入りして句集までだして、さらに進化するだろうことを予感させる。そして楽しみながら俳句の世界の基本知識がわかる。高齢者同士のヨコのコミュニケーション活動としての句会のすすめである。確かにこういう句会という座のツールがないと、世相と若者を慨嘆し、政治を肴に怪気炎をあげざるを得なくなるだろう。いいポイントを突いている。高齢社会を生きるノウハウ本でもある。

  • 結社は日本の短詩文学を発展させてきた独特の組織である。
  • 個人の営為というより、一緒になって刺激し合って新しい世界を創造する、独特の文学形式である。
  • 句会はそういった仲間とのコミュニケーションの場なのである。
  • おいしいものと酒がつくともっとたのしい。
  • 一回の食事代・酒代込みで、5千円から1万円。
  • うなぎの「両国」。日本橋のそば「室町砂場」。鳥越の「都寿司」。浅草のてんぷら「大黒家」。渋谷の居酒屋「奈加野」。
  • 俳句は友人関係を活性化する。
  • 句会は高齢社会を生き抜くための知恵でもある。
  • ひとつの小宇宙が生まれなければならない。読み終わったあとに、なにかが生まれないといけない。
  • 現実から、、浮上していないといけない。
  • 芭蕉にとって座とは、その詩情を誘発し、増幅し、普遍化する、いわばかれの詩の成立・定着にとっての不可欠の媒体であったといえる。」(尾形「座の文学」)
  • 「一切の無駄を省いて、焦点をはっきりさせ、きっぱりと「切れ味」のある表現をしなければなりません。「や」や「かな」、、」(堀切実「芭蕉たちの俳句談義」)
  • 「君子の交わりは淡きこと水の若く、小人の交わりは甘きことあまざけの若し。君子は淡くして以て親しみ、小人は甘くして以て断つ。」(荘子

名著「俳句の世界」(小西甚一)。小林恭二「俳句という遊び」「俳句という愉しみ」(岩波新書)。「現代俳句の世界」(朝日文庫)。。。

題。吟行。座の文芸。兼題と席題。披講。○と×。俳号。出句。清記。発句と挙句。句風。競吟。探題。俳聖。俳句三昧。職業詠。俳格、、、、、、。
時事問題をテーマにグループで図解に取り組み、発表し、質疑応答する場では、一つの新しい世界をチームで創造しているという感覚を味わうことができる。句会を「図会」と読み替えるとアイデアがふつふつと湧いてくる。句会と図会をやってみようか。