「脳力知熱発伝所・望月ゼミ--500人の遺伝志情報大全」

多摩大創立以来のメンバーである望月照彦教授が今年度末で退任される。
25年に亘り多摩大を引っ張ってきた先生のゼミ生たちが、このたび記念誌「脳力知熱発伝所・望月ゼミ--500人の遺伝志情報大全」を発刊した。226ページに及ぶまさに大全である。

この中に望月先生の教育者としての25年が凝縮されていると感動を覚える。20年史の時もそうだったが、区切りごとに総括を続けていくという姿勢には共感と尊敬の念を強くする。
この冊子は多摩大の歴史の一つの凝縮でもある。25年史の正史は編まねばならないだろうが、こういった歴史書の存在が正史に彩りとリアリティをを与えていく。組織のそれぞれの構成員がそれぞれの人生を賭けた歴史を編まねばならない。
以下は、創立時の望月先生と現在の望月先生の写真。深みを増した風貌が25年の歳月を物語る。


この記念誌の冒頭は望月先生の「四半世紀、持ち続けた私の想い」で、その後に野田一夫初代学長の「望月ゼミよ永遠なれ!」の寄稿があり、その後に現役を代表して私の寄稿が載っている。気合を入れて書いたので以下に記載する。

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「現代の志塾」のモデル・望月ゼミには、多摩大OBのリード役を期待します
            経営情報学部長 久恒 啓一
多摩大学は創立20周年を機に、建学の精神の再興を目指して、あらためて教育理念の制定に着手し、「現代の志塾」と定めました。
「志」とは、社会の不条理の解決のために自らの職業や仕事を通じて貢献をすること、「塾」とはゼミ中心の人間的な触れ合いを通じた人格教育、「現代」は寺島実郎学長のいうアジア・ユーラシアダイナミズムを念頭に置いています。
そして経営情報学部は、「産業社会の問題解決の最前線に立つ志人材」の育成を教育目標とし、高校生対象の「私の志」小論文コンテスト、志入試、産業社会論・問題解決学・最前線事例の3つの科目群で成り立つカリキュラム、グローバルビジネス・ビジネスICT・地域ビジネスという出口を意識した3つの履修モデル、多摩を中心とする志企業への就職、といった体系的・総合的な改革を教職員一体となって一歩一歩押し進めつつあるところです。
「現代の志塾」という教育理念については、過去の多摩大の全資料を読み込んだ上で、北矢行男先生の提唱された「現代の私塾」というキーワードを土台に、望月照彦先生から「志塾」にという貴重なアドバイスをいただき決まったものです。本学創立以来のメンバーである望月先生を始めとする輝かしい多摩大の伝統の上に立って、新しい時代を展望できる教育理念が出来上がったと考えています。
30代初めの頃から、所属する「知的生産の技術」研究会で望月先生の謦咳に接してきた私にとって、野田一夫先生の創った多摩大で、寺島現学長のもと望月先生の仕上げの5年間をご一緒できたこと、そして先生ら先達の志の松明(たいまつ)を高く掲げる責務を負っていることに不思議な縁と使命を感じております。
多摩大に望月ゼミあり、と称されるこのゼミは、「高い志、事業創造力、先進の社会デザイン」をモットーに、創立以来四半世紀にわたって本学の教育をリードしてきた名物ゼミであり、この間500名に及ぶ人物群(本学最高記録でしょう)を世に送り出しているわが大学の貴重な財産です。
さて、志を持った人材を「人物」と呼びたいと思います。知識や技術をまとった何かをなすための材料ではなく、教養や人格を備えた人物になることが大事だと思います。才能より人格、知識より教養、早咲きより遅咲き、ナンバーワンよりオンリーワン、、、。育てるべきは、目指すべきは、人材ではなく、人物であります。
企業は人材を求めるでしょうが、若者には人物を目指して欲しいと思います。じっくりと時間をかけて大いなる人物になることこそが大きな価値です。大学というものは生涯をかけて熟成していく、最初のそして大切な4年間であるという認識のもとに、手作り感あふれる教育に現役教職員の総力をあげて取り組み、成果を挙げていきたいと思います。新しいステージに立った望月先生の飛躍と、そして望月ゼミOBの皆さんには、多摩大OBのリード役となることを大いに期待しています。

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