テープ起こしの原稿と格闘

朝出勤前に、昨年行ったNPO法人知的生産の技術研究会でのミニ講演のテープ起こしに手を入れる。こういう作業はやっかいだが、自分で直すしかない。
A4で10ページの量だから、原稿用紙30枚ほど。以下は、最初と最後の部分。

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「図解コミュニケーション」という分野を開拓し始めてもう20年以上経ちます。
このままこれだけをずっとやっていいのかなという感じがしていて、何かもうひとつ欲しいなと考えていました。2005年から、人物記念館巡りをしてみようと思いついて、以来、8年間ずっとやっています。
私は、昔からいつも二本足で立とうと思っていました。勤めている時期も勤務先の仕事と知研活動をやってきました。大学教員になってからもさらに一本で立たないように、バランスをとりながらやろうと思っていました。
私のライフワークの一つは「図解」ですから当然これはずっと続けなくてはならない。これは日本人の「アタマの革命」を目指す事業です。しかし、一方の人物記念館巡りは日本人の「ココロの革命」と位置づけし、いずれ心の問題の方が大事になってくるだろうという予想の下に始めました。これが人物記念館の旅です。
海外の旅は、学生時代に考えた方法があってこれにのっとってやっています。それは梅棹忠夫先生の「生態の文明史観」を確認する旅です。壁に世界の白地図を貼り、訪れた国はそれを塗りつぶしていくということをやってきました。
ところが日本の旅はどうしたらいいのか。観光地をめぐって温泉に入り飯を食って騒ぐ。そんな類いのことをいつまでも続けていいのか。何か物足りないと思っていました。そして、8年前に人物記念館をまわる旅をしていこうと考えるようになったのです。
本格的に始めたのが2005年の1月からです。郷里の大分県中津市福沢諭吉記念館を訪ねました。それから始めたわけです。

中略


偉人伝の復活、これが日本の精神をたたき直す一番の根本のところにあります。
地域興しでもあります。人による地域おこしです。どんな人がいたか。たとえば行政改革で言うと、宮城県には、わらじ村長として有名な鎌田三之助という人がいた。この人は町長になったとたんに町長室を上がりかまちにした。そういうモデルがあるので、アメリカやヨーロッパのまねをする必要は一切ありません。自分たちの先祖にそういう人がたくさんいます。そういう人達をもっと掘り起こさねばならないという感じを持ちました。
学生に対しては、こういう授業をやって好評を得ています。学生のアンケートをホームページに公表していますが、ものすごい影響です。今年は新しいことに挑戦してみました。ユーチューブを使いました。ユーチューブをつかっていろんな偉人の映像を見せました。今日見せたのは北原照久水木しげるの映像を見せました。正岡子規の時は「坂の上の雲」の映像です。これで秋山真之なんかも出てきます。あるいは阿久悠をやると秋元康が出てくるんです。秋元康という作詞家が尊敬するのは阿久悠なんです。阿久悠をやるとAKB48が出てくるので授業が面白くなる。馬遼太郎の姿、岡本太郎の肉声、寺山修司をやろうとするとタモリが出てきて寺山修司のまねをする映像がある。ズーズー弁を使う。マンガ家。現在は教材としてこの新しい時代の新しいメディアが使えますし、これは非常にリアリティーがあって、いいので、これを使い始めたら去年よりも反応が抜群にいい。昨年までは私がずっとしゃべっていたんです。ところが映像と画像と組み合わせると学生が興味を持ちます。私が紹介した人以外でもいいから、自分のモデルを見つけなさい。今、それぞれがモデルを見つけていますが、たとえば宮崎駿にするとか、森鴎外にする。サッカー選手にするとか言っています。そうしてからその人達の人生を図解してもらう。それに文章をかいてもらってレポートにします。ですから私の手元には、毎年100人から200人の偉人の図がどんどん集まっています。これを使ってまた何か仕事やろうかと思っています。なぜこういうことを続けられるかというと、1つが図解コミュニケーション、1つが人物記念館、立志伝です。この2つを同時にやっているために、やり続けないと授業が成り立たないというしくみになっているのです。