リベラルの再生--NPO知研で寺島実郎講演

赤坂の日本財団本部の会議室でNPO法人知的生産の技術研究会のセミナー。
講師は寺島実郎顧問。

  • 人間とは何か。チンパンジーと人間のDNAは1.2%しか違わない。言語・表現というコミュニケーションに関するDNA、これが「考える」力になり、知性や理性を生んだ。
  • 数日前のNHKの「アイスマン」。5300年前の冷凍人間の発見。オーストリアとイタリアの山岳地帯。胃袋、DNA解析。豊かな食生活。ツボに刺青、何らかの医療行為か。
  • 人間の歴史は進化しているのか。
  • リベラルの再生はなるか。反原発からアベノミクスに一瞬で変わった空気。民主党はリベラルではない、増税対米追従の第二保守。労働組合の組織率は17.9%、連合は公務員と大企業の労組、年収600万。労働者の34%は年収200万以下。34%は変革の基軸は何か。
  • リベラルとは。相対的自由、制約されないスタンス、個の解放、全体からの脱却、自立自尊、、、。
  • 宮澤喜一「一億一心の対局」、河野洋平自民党宏池会の流れの崩壊。小田実加藤周一{不条理に対するわななくような怒り」。一億総保守の空気。経済主義とプチナショナリズム
  • トインビー:君主制と共和制の戦を経て英国人らしい節度と穏健な態度の重要さ。市井三郎:歴史の進歩とは何か。必然でも偶然でない。不条理な苦痛を社会的・・制度的に克服。
  • リベラル再生への5つの課題。
  • 1・日米同盟の進化・再設計。ケント・カルダー:王毅外相の就任。4.28独立60周年行事(沖縄の基地。地位協定の現状)。安倍訪米、日本のイスラエル化の懸念、ナショナリスト政権か、違和感。中国と真正面から向き合うなら、地位協定の改定と米軍基地の縮小を。常識に還れ。米中原子力協力(安全なトリウム原発)。
  • 2.グローバル社会における公平な分配。自立自尊がリベラリズムの原点。
  • 3.平和国家精神の再起動。
  • 4.反原発がリベラルではない。技術基盤の蓄積。米との関係の見直し。人間は火を使うサル。化石燃料まではリサイクル。近代主義者として日本の原子力基盤を放棄すべきではない。2.5万人の技術者、平和利用。貢献ができなくなる。非核のための原子力。より高い専門家を育てる。内では反原発、外では輸出。これは信用を失う。
  • 5.議員定数の削減。政治改革の目標は政治の極小化。人口対比アメリカの3倍の議員数。1人2億円。人口減少社会。分母を減らせ。
  • 変革の担い手は誰か。高齢者と労働者。人口の25%、有権者の36%。何を残すのか。サライ世代でいいのか。労働者の怒り。自分で論理を組み立てよ。
  • アベノミクス:1.株高。外人の購入。リフレ論者とアメリカ金融界は密接。参院選まで1.7万。売り抜く。2.円安反転のリスク。エネルギーと食料で30兆円。2割の円安で36兆円に膨らむ。経常赤字6.9兆円。合計13兆円の赤字になる。円の実力は90−95円、100円になったら大変。3.企業業績と給与。業績はアップ。外国で儲けている。分配率の低下、アトム化の進行。どうなるか。


質問

  • TPP。日米自由貿易協定が本筋だったが、日本はバイではなくマルチにしてきた。TPP参加は遅すぎる。欧州とアメリカのFTAの動きがあり、日本も日米FTAを提唱すべき、これが現時点での正着。太平洋戦争の日米交渉と似ている。経済は実態化が重要、システム農業、プラットフォーム、構想力。
  • 企業再生。何を残すか。原発は国策統合会社。アメリカと日米原子力共同体が進行中という現実、日立・東芝
  • 脱・原発非武装中立に似ている。

会場は2時間、シーンと静まり返った雰囲気で、水を打ったようだった。

終了後、知研の仲間と近所の中華で講演を肴に歓談。

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