「嘉納治五郎」--自他共栄・精力善用

嘉納治五郎--私の生涯と柔道」(日本図書センター)を読み終わった。

嘉納治五郎―私の生涯と柔道 (人間の記録 (2))

嘉納治五郎―私の生涯と柔道 (人間の記録 (2))

一生一つの道を歩んだ偉い人の記録である。
嘉納は体が弱く子どもの頃には常に人の下風に立たざるをえないことで発奮し、心身の鍛錬で克服しようと柔術の世界に入っていく。そして様々の流派から学び、それらを総合して心技体を磨くという「柔道」を開発し、それを日本と世界に広めていった。人を集め、道場を開き、形を整え、雑誌を発行し、会をつくり、オリンピック東京誘致に成功する。
また、東京高等師範という教育者を育てる学校の校長を累計25年の長きにわたって務めており、教育界における人材輩出に大きな功績がある。

  • 一体自分は、或る事に従うとなれば、自分の方からこれをやめないという大方針を持っている。
  • 他人に身分を頼んだこともなく、また自分で転任を企てたこともない。
  • 自分は永年、高等師範学校長の職にあって、その職務上、道徳教育をもっとも大切に考えておった。
  • 自他共栄、
  • 元来自分は、一度占めたる地位はこれを妄りに去るということは、与えられたる職務をつくしたものと認めない。
  • 一体、なんの仕事でも、仕事は本気ですることをもっとも尊ぶ。
  • 師範学校は、、満足して教育者の天職を尽くすというがごとき人物を養成するところにある。
  • 教育者は、、、その人の心がけ・力量及びその努力のいかんによっては、偉大なる人物を育成することが出来る。
  • 教育は、一人の人のなせることが、その一生の間にさえ何万人にもその力を及ぼし、さらに、その死後、百代ののちまでも、その力を及ぼすことが出来る。
  • 自分の成功は同時に、他人の成功をも助けて、その満足を得るのである、それが教育の愉しいことの一つである。
  • 道徳教育が人の一生の行動を支配する。
  • 師範教育についてのもっとも大切な点は、生徒をして教育の力の偉大なるものであるといいうことの信念を確立せしむることと、さらにこれを楽しましむることである。

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