サン=テグジュベリ。ルネ・ラリック。はた功泰。

箱根。

ホテルの庭から歩いていける。
世界140カ国で出版されている大ベストセラー「星の王子さま」。「大切なものは目に見えないんだ」。
その作者・サン=テグジュベリ(1900−1943年)の記念館といってもよい。

飛行機の黎明期を彩ったパイロットでもあった作者は、アンドレ・ジイドが序文を書いたこの本の世界的成功を目にする前に戦場で消息を絶った。
ニューヨークで友人のジャン・ルノワールとの接触があった。このジャンは、昨日ポーラ美術館で観た画家・ルノワールの息子ではないか。
「ぼくは自分にとって複雑すぎる。自分をどう使ったらいいのかわからない」。
彼の傑作「人間の太地」を購入したが、翻訳者は堀口大學で、解説者は宮崎駿だった。

フランスの工芸家ルネ・ラリック(1860-1945年)の宝飾とガラスの美術館。
ラリックは19世紀末の華麗な装飾様式であるアール・ヌーヴォーと、都市を舞台にした産業デザインであるアール・ヌーヴォーの旗手である。

1900年のパリ万博に100点以上の作品を出店し、成功を収めた。ラリック社を創業。
1906年には自由な形にできるガラス工芸家に転身する。のちにフランスの香水メーカーの求めに応じて60社の瓶を手がける。少量の量り売りがここから始まった。
ジュエリー作家。そして200点の花器。大西洋横断のノルマンディー号の一等食堂、オリエント急行の食堂車なども彼のデザインだ。
19世紀後半に行き詰まった西欧美術界に新風を吹き込んだジャポニズムに大きな影響を受けている。自然のモチーフ、余白の美、シンメトリーを崩した不安定、不定形、大胆な構図、時間の移ろい、生命の儚さ、、、。北斎漫画も人気だった。
日本では旧朝香宮テイ東京都庭園美術館)の玄関扉、天井灯などがラリックのデザインだ。

この美術館は、はた功泰という人のコレクションだ。1980年代から美術館の設立を願って四半世紀を経て箱根に美術館を設立した。
映画関係の実業家らしいが、この素晴らしい美術館を遺すことができたのは本望だろう。

1920年の第1回(大正9年)は四大専門学校対抗駅伝。早稲田、慶応、明治、東京高師で、優勝は東京高等師範
2013年で89回大会となる。映画の篠田正浩監督も選手。オリンピックで活躍した宇佐美、瀬古、谷口もこの箱根路を走っている