希望が人を救う!----音楽座ミュージカル「ラブ・レター」を観る

町田市を本拠とする音楽座のミュージカル「ラブ・レター」を観る。
多摩大からは杉田先生とゼミ生も来ていた。

死者が生きている人の生き方を変えていく物語。舞台は、2011年の東北、1993年の新宿、1993年の千倉。
書類上で偽装結婚し亡くなった中国人女性パイランが残した手紙が、男の心を打ち、周りを動かしていく物語。パイランの希望は吾郎だった。

「ここはみんなやさしいです。組の人もお客さんも、みんなやさしいです。海や山もきれいでやさしいです。でも吾郎さんが一番やさしいです。」
主人公は1973年に故郷東北から上京し歌舞伎町で生きている吾郎。私も同じ年に九州から上京したから、時代感覚はわかる。その後の東京での20年が重なって見えた。

「希望」が人を救うというメッセージだ。
希望を歌い上げる演者たちの最後の合唱も力強い。教育ミュージカルの音楽座の志を感じる演目だった。

原作者の浅田次郎(1951年生まれ)のインタビューには小説の何たるかが端的に語れている。
「小説が素晴らしいのは、読み続けると想像力が逞しくなって、結果として自分とちゃんと向き合えるようになるいことではないかと思います。何か大きな悩みや問題にぶつかったときに、それを突破するために必要なのは想像力ですよ。」
「想像力を鍛えて自分で突破するしかない。だからね、小説は割と人生に効くと思いますよ、ノウハウ本よりずっと役立つと思う。」
小説は想像力を鍛え、人生の問題を突破させる力がある、ということか。

音楽座ミュージカルは何度も見ているし、キャストの何人かとは会ってもるので、その人たちの役柄と演技を観察するのも愉しい。
医者を演じた五十嵐進さん、マダムと巡査長を演じた藤田将範さん、、、、。
驚いたのはスーパーアドバイザーとして舞台美術家の朝倉摂さんの名前があったことだ。彫刻家・朝倉文夫の長女で、日航時代に一度仕事で接触した記憶がある。もう相当な高齢(1922年生まれ)だと思うが、生涯現役の人ということだろう。文化功労者にもなっている。