岡崎嘉平太「中国問題への道」(春秋社)--日中友好の井戸

岡崎嘉平太「中国問題への道」(春秋社)を読了。
発刊は1971年3月。1969年に書いた文章も入っている。これから45年後が、2014年だ。

中国問題への道 (1971年)

中国問題への道 (1971年)

岡崎嘉平太1886年-1989年)は、日銀を経て、大東亜省参事官、上海在勤日本大使館参事官。戦後、池谷鉄工、丸善石油全日空の社長を歴任。日中覚書貿易事務所代表。81歳、勲一等瑞宝章。92歳、戦後100回目の訪中、没。

「これからの外交の行き方は、隣国とともに生きるということにあると思う」
アヘン戦争以来、中国が苦しんだもろもろの何代を、孫文、黄興、蒋介石と三代を経て共産党政権がこれを一挙に解決した」
「8月15日に蒋介石がだした布告文「仇に報いるに徳をもってせよ」。憎い日本ではあるけれども、アジアの守り神であっったといえるよ」
「気宇が大きい、、」
「だれも中共に行き、あるいは人と交わって身をもって研究している様子がない」
「実に遠大な計画です。それがいちばんよくわかるのが植林、治水です。黄河ひとつみましても、五千年来の念願だった治水をついやってしまった。」
周恩来。わが国は大変な損害を受けている。しかし、八十年は、日中二千年の交わりに比べれば僅かな時間だ。」

          • -

1969年といえば、私の大学入学の年になる。そのときに、以下の考えを発表していたのには驚いた。
中国の今日あるを予測し、日本への米軍駐留への警鐘、日本の安全保障も柔軟に考えていることに感銘を受けた。

  • あと30年たったら、世界における今の中国というののは、えらいものになる。おそらく、ソ連は追い越し、アメリカにも追いつくだろう。、、そういうときが来たときに、もし、日本民族と中国民族との間に、不信感があったとしたら、息苦しいのは日本じゃなかろうかと思います。
  • 基地については、外国の軍隊が今後二十年、三十年、五十年にわたって日本に駐留し、日本が実際の自己防衛を行わないという状態がつづけば、日本民族はおそらく骨抜きになるだろうと私は心配する。そこで、日本民族が生きるバックボーンをもつために、基地は漸次、できるだけ早く撤去しなければならない
  • 日米安保条約だけに固執せず、より広い視野からアジアの安全を考える必要があると思う。また、日本の安全は日本人自らが守るのだという気概をつくりあげてゆくことが必要なのではないだろうか。

郷里の岡山県岡崎嘉平太記念館がある。ここには訪問したい。
http://www.okazaki-kaheita.jp/index.html