加瀬英明「日本と台湾--なぜ両国は運命共同体なのか」(祥伝社新書)

加瀬英明「日本と台湾--なぜ両国は運命共同体なのか」(祥伝社新書)を読了。

日本と台湾 (祥伝社新書)

日本と台湾 (祥伝社新書)

外交評論家で福田・中曽根内閣で首相特別顧問で対米交渉にあたった加瀬英明の2013年の著書
1936年生まれの加瀬は台湾を「もうひとつの日本」と呼ぶ日本随一の知台派で豊富な人脈の持ち主。

  • 台湾は中国大陸から150キロの東シナ海にある。面積は九州の85%。1960年代まではポルトガル語の「美しい島」という意味のフォルモサと呼ばれていた。1624年にオランダ人が城塞を築いた時に、先住民の部族名か地名である「タイユアン」がなまっでタイワンとなったという説がある。
  • 牡丹社事件を機に1874年に清国が琉球の日本帰属を認めるのと引き換えに台湾が清国に属することを日本は認めた。この事件で清国は日本に50万両の賠償金を支払った。その20年後の日清戦争で台湾は日本領になった。日本統治は50年に及んだ。
  • 台湾で「日本式」といえば、律儀、約束を守る、騙さない、信用できる、マナーが正しい、という意味である。
  • 本省人とは台湾人、外省人とは中国人。
  • 中華民国は人口2100万人。GNP世界20位。外貨保有は世界二位。
  • 八田與一は東洋一のダムをつくり嘉南平野の土地を肥沃にし100万人の農家の暮らしを豊かにした。
  • 台湾の近代化に尽力した10人の日本人。後藤新平新渡戸稲造八田與一(台湾外務省に銅像)、羽鳥又男(オランダ時代の遺跡を修復)、浜野弥四郎(近代水道を敷設した都市の医師)、新井耕四郎(紅茶産業の織や、鳥居信平(干害、松本幹一(電力事業の父)、磯永吉・末永仁(蓬莱米)
  • Z旗とは、船舶信号のAーZの最後の文字。もう後がない、という意味で東郷長官が使った。
  • 「犬が去って、豚が来た。犬は安全を守ってくれた」。犬は日本、豚は中国。
  • 1947年の「二・二八事件」。国民党郡が2万8千人を殺害。
  • 1950年の朝鮮戦争の勃発で台湾がアメリカの極東における防衛戦に組み入れられた。不沈空母(トルーマン大統領)。蒋介石は救われた。
  • 中国の龍の爪は5本。朝鮮とベトナムは4本。日本は3本。
  • 「中国の夢」は世界の悪夢。
  • アメリカが中国に憧れてきた理由は、巨大な市場とキリスト教の処女地だったから。
  • 1978年トウ小平来日「尖閣は1972年の合意に基づき棚上げ」と提案し、そのような了解はないと否定すべきだたtが、受け入れた。1992年に中国は「領海法」を定め尖閣を自国領土とし「棚上げ」を反故にした。2012年に野田内閣が尖閣を国有化宣言し、反日暴動が起こる。
  • 南京大虐殺。30万人という数字があるが、検証の結果最大でも2−3万人。
  • 馬英九総統は2008年に勝利、2016年までの8年間が任期。中国への融和策。台湾が独立したら、国土の60%を占めている少数民族が分離独立を求め、中国は解体する。
  • 2300万人の人口のうち、200万人以上の台湾人と家族が、台湾企業が中国に投資して設立した会社で働き、生活。
  • 李登輝政権は、国民中学校の国語教科書で「私たちはみな台湾人だ」と書き改めた。元は中国人となっていた。
  • 中華人民共和国の国旗・五星紅旗は、大きな黄色い星が漢族。4つの小さな星が滿蒙回蔵。回はウイグル。蔵はチベット
  • 馬英九政権は、ECTA(両岸経済協力枠組協議)を進めている。自由貿易協定である。2013年6月、金融、医療、電子商取引などの分野で市場開放する「サービス貿易協定」に調印した。台中経済の統合という危ない橋を渡っている。しかし8割以上が中台統一を欲していない。
  • 2013年4月、日台漁業協定が締結された。尖閣諸島周辺の日本の排他的経済水域の一部で、台湾漁船の操業を認めた。
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今日の収穫

  • 汗は自分でかきましょう。手柄は人にあげましょう。そしてその場で忘れましょう。(竹下登