日本新聞博物館(ニュースパーク)で開催中の「日本初の女性報道写真家・笹本恒子100歳展」を観る。
1929年竣工の旧横浜商工奨励館を保全・活用した横浜情報文化センターの中核施設がこの博物館である。
由緒ある、そして雰囲気のある建物だ。関内にはこういう文化施設があちこちにある。
1階の広い空間には新聞を刷る巨大な輪転機が鎮座している。2階から5階が日本新聞博物館。
笹本恒子は1914年生れで今年100歳を迎える。カメラを手にして75年で、現在も撮影や執筆に忙しい日々を送っている。1940年に26歳で写真協会に入り報道写真家となって、日独伊三国同盟の婦人祝賀会、ヒトラーユーゲント来日、日米学生会議の記録、そして日米開戦前夜の貴重な写真を撮影した。
戦後フリーとなって、初代南極観測船・宗谷、原爆ドーム、三井三池争議、安保闘争などの事件や、徳富蘇峰、岡本太郎、大宅壮一などの著名人を取材する。
1985年から再びカメラを手にし、宇野千代や三岸節子など明治生まれの女性シーリーズを手がける。
この展覧会では、この女性シリーズが素敵だった。
壺井栄、加藤シズエ、澤田美喜、中村汀女、石垣綾子、杉村春子、佐多稲子、丸木俊、吉行あぐり、淡谷のり子、沢村貞子、斎藤史、美空ひばり、笠置シズ子、越路吹雪、、、。
男性では、市川猿之助、千宗室、白井義男、野村胡堂、三笠宮、三木武吉、藤山一郎、山田耕筰、力道山、三船久蔵、升田幸三、井伏鱒二、大仏次郎、長谷川伸、尾崎士郎、室生犀星、新藤兼人、、、。
この人の写真では、やはり人物写真がいい。
「自伝 笹本恒子の97年--お待ちになって、元帥閣下」を読んでみた。
「人生は不思議なもので、開くドアを一つ違えるだけで、その先がまるで変わってしまいます。」という「96歳の転機」のなかの言葉にうなずいた。
- 作者: 笹本恒子
- 出版社/メーカー: 毎日新聞社
- 発売日: 2012/05/25
- メディア: 単行本
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「100歳のファインダー(東京新聞)」の中でむのたけじとの対談の中の言葉。
「気持ちの底では、戦争はダメ、そうだよなー、そうだよなー」と思いながら戦前、戦中を通し、日本人は暮らしてきたと思います。