リレー講座は東大の藤原帰一先生の「中国とどう向き合うか」

本日のリレー講座は東大の藤原帰一先生の「中国とどう向き合うか」。

  • 中国の台頭は「権力移行」か。スペインとイギリス、イギリスとドイツのような権力移行か否か。1980年代の日本とドイツの上昇はそうではなかった。経済のみであった。ソ連も軍事面で対抗勢力ではあったが経済が弱かった。
  • 21世紀の中国は第二次対戦以降初めてのケース。
  • 経済は世界2位、高い成長率。発展途上国への接近(資源と市場)。日米安保には反対していない。アメリカが日本を抑えているというビンのふた論。
  • 軍事も強大化。欧米とは一線。朝鮮戦争で負け、中越戦争では実戦経験のあるベトナムに大敗した。それを契機に軍の近代化に着手。海軍力の増強。2009年以降は核心的利益を守る外洋戦略。アセアンなどと紛争。
  • 中国は「脅威」(外洋戦略)。中国は「機会」(市場)。中国は「障壁」(拒否権発動型の役割)。
  • 覇権戦争? 権力移行は行われているが、戦争の蓋然性は高まってはいない。
  • 先制攻撃? スペイン無敵艦隊はオランダの海賊に破れた。ドイツとイギリスの戦争はセルビアの役割が大きかった。
  • 権力移行と同盟? 老大国との同盟を強化していく方向。中国からすると日本は日米同盟でフタをしている。韓国には米国から中国へと圧力をかけているが米へ接近。米国の国債を売ると返り血を浴びる。
  • 中国の軍事的脆弱性:軍事力格差。同盟国の不在。米韓演習。
  • 中国の政治的脆弱性マルクスレーニン主義の一党支配からナショナリズムへ(取られたものを取り返す)と変化。政府よりも国内世論が強硬。日本と馴れ合う政府を批判。権力闘争とナショナリズムが合わさって不安定化へ。習近平体制でも国内政治の不安定は続く。
  • 経済の脆弱性:国内が爆発しかかっている。自由化は民主化を呼び込む。インターネットは4つの関門あり。weibo。
  • 日本の集団的自衛権にはもう日本は持っていると認識している。
  • 何をなすべきか。
    • 靖国参拝で、日本が異常、中国が正常という国際世論。歴史認識については日本の味方がいない。歴史問題は回避すべき。
    • ベトナムとの戦争は起こりうる。日本との戦争の確率は低い。
    • 中国に対しては、海上交通の自由・安全をテーマとして多国間(日本・韓国・米国・アセアン)で連携して牽制するのがよい。