「最先端医療の開発とDNA情報に基づく新たな社会」

本日のリレー講座。
東大医科学研究所医療イノベーション推進室長で医科研付属病院長の今井浩三先生。
テーマは「最先端医療の開発とDNA情報に基づく新たな社会」。

  • 日本は世界一の長寿国。平均寿命は84歳。女性87歳は断トツの一位。男性80歳は8位だがトップは81歳。これは病院にフリーアクセスできるのが一つの原因。ヨーロッパは2か月後とか、アメリカはカードの提示(金を出せるか?)などにうるさい。
  • 一方で国民医療費は膨らんでいる。1990年に20兆円。2000年に30兆円。2010年に37兆円。2013年は41兆円(予算)。政府予算の3割から4割は医療費。
  • 先端医療は外国からの輸入が多く3兆円の赤字。日本では手間がかかるため新薬の開発が遅れているのが原因。ようやく全国7拠点の研究加速ネットワークが設置された。
  • 自身のiPs細胞による創薬:個人別の花粉症の薬。自身の骨髄からの歯槽骨再生のインプラント。有効な治療のないすい臓ガンに対するペプチドがんワクチン。
  • 日本では臨床試験に時間がかかる。
  • 生命科学で幸せな長寿。
  • 日本の人口1.27億人。65歳以上の高齢者は4分の1の3000万人。そのうち500万人がガン、450-500万人が認知症で、計3分の1の1000万人がガンか認知症
  • 65歳以上2874万人うちの認知症有病率は15%で439万人。中間状態の人の有病率(自立1または要介護認定を受けていない人)は13%の160万人。中間状態の人(認知症候補者)は380万人。(平成22年推計値)。
  • ガンは男性は女性よりも多い。
  • DNAか? 環境か? この2つの組み合わせで発症する。
  • 2000年のゲノム解析から15年。革新的イノベーション創出プログラム(COI)。産学連携により少子高齢化先進国・理想の社会へ。ヘルスビッグデータを用いた健康長寿イノベーション
  • 東大医科研は北里柴三郎博士が創業。北里は抗血清療法の開発とワクチン普及による感染症予防によって「病気にならない」医療革命に寄与した。その精神と伝統を継承。スーパーコンピュータを使い病気リスクを予測。唾液を送って診断する遺伝子情報解析サービスで個別病名リスト解析を提示、その上でカウンセリングなどでフォローする。拠点を全国展開。まず渋谷。2017年に100万人のビッグデータ、それを予防に活かす。

最先端医療による治療と予防のイメージを提示していただいた。こういうことが実現すると日本の医療はもっとよくなり、健康で幸福な長寿国になっていく可能性が高い。