後藤謙次「安倍政権:拉致問題・集団的自衛権・政治日程」

本日のリレー講座の講師は共同通信客員論説委員後藤謙次さん。

  • 1年半たった安倍政権の今の課題:アベノミクス・集団的自衛権拉致問題の解決
  • 日程作り:月に1度の外国訪問。月に1度の被災地訪問。月に1度の地方訪問。月に1度のゴルフ。
  • 外交:アセアンから始めた。アメリカ(TPP)。モンゴル(拉致問題。これがスエーデンで行われた日朝交渉につながる、、。
  • 7月1日に北朝鮮から名簿提示。4日独自制裁解除。8月5日アセアン地域フォーラム(ミャンマー)で外相のハイレベル交渉か。8月下旬から9月中旬に第1回の報告を受ける予定で動きがあれば調査中でも日本に帰すかもしれない。
  • 外交日程はしっかり積み上げている。
  • 拉致された者。失踪者。遺骨。終戦で残った人。日本人妻。膨大な人数。
  • 「ニュースを消すのはニュースだ」
  • 集団的自衛権閣議決定拉致問題を同日に設定。
  • 内閣記者会のコントロールが及ばずにメディア出演。メディアが手がかじかんでいる状態。集団的自衛権については在京6社は真っ二つ。朝・毎・東京は反対、サンケイ・読売・日経は賛成。分断状態になっており政権にはベストの状態。
  • 国会:野党の弱体化は目をおおうばかり。これは小選挙区制度が原因。人選や政党助成金の分配は執行部が決める。
  • 公明党はゲタノ雪ならぬゲタの石状態。最初から「離脱戦はしない」と山口代表が宣言した。
  • 自民党は昔の自民党ではない。今回はたった一人の反対のみ。9月の内閣改造の予定。大臣待ちが43人。今回は半数以上大臣を替えるといって期待をあおっている。老獪な手腕。
  • 政治日程:2016年12月に衆院任期と2016年7月に参院改選。以上から逆算して考えると、、。
  • 2015年10月に消費税10%。これは11月までに決断。11月はアメリカの中間選挙もありTPPが焦点。このあたりではTPPや消費税という生活に関わる問題が争点になる。だから、集団的自衛権を急いだ。
  • 消費税10%は最初は消極的だったが最近は言及しなくなった。法律に銘記されており延期にはエネルギーが必要。アベノミクスにも疑問がでてくる。社会保障と税の一体改革。財政再建国際公約違反、、。
  • 総裁と幹事長に「これほど力に落差があるのは初めてだ。
  • 2015年4月に統一地方選。2015年9月に自民党総裁選。2015年10月に消費税を上げて影響が出始める前に解散か。
  • 着々と。2020年の東京オリンピックでも総理の可能性。中曽根首相の前例(現在96歳)。

以下、レジメから。
第2次安倍内閣の発足から1年半。安定した政権運営が続く。背景には両院の一強多弱の政権基盤と菅官房長官を軸にした首相官邸への権力集中がある。前回の失敗に学んだ首相自身の独自の日程づくりや失意の5年間で培った人脈、メディア対策など首相主導の政権運営が推進力を与えている。
しかし近隣外交の行き詰まりや閣僚の相次ぐ失言など政権の綻びも見え隠れする。1年半の中間決算と、日朝問題、消費税、自民党総裁選など安倍政権の今後を展望する。